ラッキーパーソンは偉人

石畳の隙間に滑子汁を注いだら夢や希望が擬人化し、気高いオフィス・レディも顔面蒼白で失禁する。地下四階から担いできた米俵を解くと、中には醜い死に顔をした無数の雛菊が詰まっていた。焼きついた花弁に目玉ぞろぞろ、午後の業務は気もそぞろ。以来、緑黄色を視界に入れるのは厳しくなってしまったが、カップ麺しか食べない生活をしているので迫った問題は無いし、長持ちはさせたくない人生で今後も困ることは極少ないだろう。よかったね。

カレンダーの赤い日付だけに訪れる魔王の孫が持っている電源アダプタが日記帳に繋がれた時、所謂黒歴史がありありと不意に脳裏を掠めるらしい。フラッシュ・バック、と小学六年生だった頃なら格好良くて絶対手に入れたかった様な呼び名があると云うけれど、所詮は意図しない記憶域の切れ切れな復元。缶切りで頭蓋をぐるり切り取り、脳を優しく揉み洗いで初期化してやれば染み付いたタールと共に落ちるのだ。

小鳥の囀りがなんとなく、ただなんとなく今日ばかりは気に障ったのは、朝の歯磨きで誤って樹木を飲み込んでしまったからなのだろう。