ハロー、離人感
四ツ並びの磁石が、恋文の宛先を自分にした心身を慰める。今日は来ないのですか。今日も来ないのですか。持て余す時間、カードに指の皮膚を餌として噛ませる。待ち呆けが呼んだ友達はピョコンと頭を下げて、己をカナシミだと名乗りました。偶然居合わせたサビシサとは旧知の仲であったらしい。わたくしの脱殻など目の端にも入れず、肩を組み、大きな声で談笑するのが煩わしい。
心臓の形のペンダントが箪笥の奥で光っている。アイコニックな形状でなく、写実的な其れだ。決して動く筈も気配も無い。わたくしの心臓を切り取って巨きなペンダント・トップにしたなら、買い手の一人も付きやしないだろう。ならば自分は何時何処で、不気味で悪趣味なプリズム状の装飾品を。大きさから推察するに、鼠の類いの臓器なのもしれない。どうあったとて、真実も、現実も、馬鹿馬鹿しい。ペンダントから引き千切って離し、捏ち上げたみたいな記憶と一緒にそれはゴミ箱に捨てた。ゴトリと音を立てました。
「物騒な表現は避けましょう」への右倣えに、然し此の状態を表す穏やかな言葉は見当たりませんと手を挙げる者には屹度、先頭が例を示さないと改善も気概も見込めないのでしょう。
