帰省先は知らン顔
ポーチの中で大切に保管していた活力が腐ってしまったので、丁度腹を空かせていたらしい同席の萎びたまんまで沈んでいる睡魔の餌にした。丸々と太った大根には変われない其れを見、自らの現在・過去・未来に重ねさせられてしまった。都会に寝そべったままのやつがれが今後どうなるのかはCMの後のお楽しみ、どうぞ刮目あれ。
主要駅の電光掲示板では架空の少女が上手に〝荒城の月〟を歌っている。半年前の報道番組で見た容姿であった。あれから改良があったのか無かったのか、未だ些か舌が足りないようだ。発車時刻丁度には利口に奥へ引っ込んでいった歪つなアニメキャラクターの外見をしたシンガーの代わりに、掲示板では開発者の姓名とテクノロジー発達への憂慮をが角張った緑色の文字に変わって左から右へ流れていった。
煙草を覚えた切っ掛けはなんだったろうなと、噛み吐きしたばかりの主流煙の行末を見守り乍らゆっくり眼を閉じてみた。普段なら砂嵐めいた像が浮かぶ瞼の裏側には暢気なサーカス団体が訪れている。秒針に背中を押されて、と云う表現を使うには此処ではあまりに強すぎたデジタル数字の、益益の御発展をお祈り申し上げよう。
