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第9回: AIを活用して2ヶ月で挑む「逆転のシナリオ」


1. プレゼンまで、あと2ヶ月

書類選考を通過したという知らせは、大きな喜びであると同時に、私に「時間との戦い」を突きつけました。プレゼンテーション本番まで、残された期間はわずか2ヶ月。

ここで私は、冷徹な現実に直面します。アカデミアの正攻法である「論文数」や「研究実績の総量」という物差しでは、本命候補に到底勝機が見出せないことは明白でした。同じ土俵で戦い続けても、この短期間でその差を埋めることは不可能です。

しかし、この「弱者の自覚」こそが、私の戦略の起点となりました。既存の物差しで測れない価値をどう提示するか。私は、医療界の常識に縛られない「外部の知見」を全力で取り入れる決意をしました。

2. 「個の力」の限界を認め、勝つための布陣を敷く

教授選で勝つということは、投票権を持つ教授陣に”投票してもらう”ということです。自分と関係の薄い診療科や、研究を主戦場とする教授陣にとって、研究実績の多い候補者に投票するのはごく自然な、いわば「当然の選択」です。彼らの心を動かすほどのプレゼンテーションができなければ、勝利は絶対に掴めません

医学の研鑽を積んできた自負はありますが、私は自分を売り込むプロではありません。「勝つために、今、何をすべきか」を冷静に考え抜いた結果、一つの結論に突き当たりました。自分の価値を最大限にアピールし、この高い壁を乗り越えるためには、自分一人の力だけでは到底無理である、ということです。

3. AIの先へ ―― プロへの「依頼」という覚悟

現代において、AIを情報整理や文章作成に用いることは、もう誰でも行っていることです。他の候補者も、おそらく何らかの形で活用しているでしょう。私はその一歩先、普通の候補者が考えもしないようなアクションを起こす必要がありました。

そこで思いついたのが、広告代理店に勤める古くからの友人を頼ることでした。プレゼンテーションのプロフェッショナルの力を借りる事で、自分の長所をアピールし、弱点をカバーする事ができるのではないか、と考えたのです。

彼との最初の打ち合わせで、私は大きな衝撃を受けました。彼が見せてくれたのは、彼がこれまで行った商品や企画を世に送り出すための、全く別次元の「人を動かすプレゼンテーション」でした。

私はこれまで学会などで数多くの発表を行ってきましたが、それはデータが主役であり、新規性と、医学的に妥当であるかが重要でした。
しかし彼が見せてくれたのは、単なる事実の羅列ではなく、**「商品が、買い手にどのようなベネフィットをもたらすか」という価値の提示でした。

私は、彼に「私の商品価値を最大限にアピールし、人の心を動かすプレゼンテーションを作る」ことを、正式に仕事として依頼しました。**友人という甘えを捨て、プロとして本気で取り組んでもらいたい。その覚悟こそが、勝利への必須条件だと考えたのです。

4. ハッタリを確信へ

当時活用していたChatGPTとの対話で、バラバラな実績(点)を組織の課題解決というロジック(線)に編み直し、そこに広告のプロである友人の視点から「相手の心に突き刺す言葉」という血肉を注いでもらう。AIが論理を整え、プロが説得力を吹き込む。

最初は「自分なんかが……」という戸惑いから始まった挑戦でした。しかし、この最強の軍師たちと戦略を練り上げていく2ヶ月の間、私の中にあった根拠のない「ハッタリ」のような自信は、次第に「これこそが母校に必要な未来だ」という揺るぎない「確信」へと変わっていきました。

私は一人の臨床医として、母校の未来を懸けた大舞台へと足を踏み出す準備を整えたのです。

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