インターネット接続設定の問題 ― PPPoE と IPoE の切り替えでつまずいた話
先日、自宅のインターネット回線をソフトバンク光からドコモ光へ切り替えた。回線切り替え当日は、IPoE(IPv4 over IPv6)がまだ有効になっておらず、やむを得ずPPPoE接続の設定を行ってインターネットを利用していた。
後日、IPoEが提供開始されていることを知り、接続方式を確認するために各種接続確認サイトをチェックしたところ、接続方式は依然としてPPPoEと表示された。原因を調べてみると、ルータにPPPoEのセッション設定が残っており、IPoEが利用可能な状態でも、ルータ側が優先的にPPPoEで接続していることが分かった。
ここで問題になるのが、IPoEへ切り替えるためのルータ設定が非常に分かりにくい点である。多くの家庭用ルータでは、「PPPoE設定を削除する」「IPv6 IPoEを有効にする」「MAP-E/DS-Liteを選択する」といった操作が必要になるが、メーカーごとに設定画面や用語が異なり、公式案内を読んでも迷いやすい。
今回はIPoEやPPPoEの仕組みをある程度理解していたため、
・PPPoEのユーザーID/パスワード設定を削除
・IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)を有効化
といった対応により、IPoE接続へ切り替えることができた。しかし、これらの知識がない利用者の場合、「通信できている=問題なし」と判断し、結果として輻輳の影響を受けやすいPPPoE接続のまま使い続けてしまう可能性が高い。
回線事業者やプロバイダには、IPoE提供開始時点で
「現在の接続方式」
「IPoE利用のために必要なルータ設定」
「PPPoE設定が残っている場合の注意点」
を明確に通知する仕組みが必要だと感じた。IPoEは高速かつ安定した接続を実現できる一方で、設定の分かりにくさが普及の妨げになっているのではないだろうか。
補足:今回の検証環境(OCN × TP-Link Archer AX80)
今回のインターネット接続設定の問題は、以下の環境で発生した。
回線:ドコモ光
プロバイダ:OCN
ルータ:TP-Link Archer AX80(レンタル提供品)
OCNでは、IPoE接続として IPv4 over IPv6(MAP-E) が提供されている。そのため、本来であればルータ側でIPoE(IPv6)を有効にし、IPv4通信はMAP-E経由で行う構成が推奨される。
しかし、回線切り替え当初はIPoEが未提供だったため、Archer AX80にPPPoEの接続設定(OCNの接続ID/パスワード)を行っていた。この設定が後日まで残っていたことで、IPoEが利用可能になっても、ルータはPPPoEセッションを優先して確立してしまっていた。
TP-Link Archer AX80の設定画面では、
インターネット接続方式としてPPPoEが設定されている
IPv6機能は有効になっていても、PPPoE設定が残っている限りIPv4通信はPPPoE経由になる
という挙動を取る。そのため、OCNの接続確認サイトやIPv4接続判定サイトで確認すると、IPoE提供後であっても「PPPoE接続」と表示される状態が続いていた。
IPoE(MAP-E)接続へ切り替えるためには、
PPPoEの接続設定を削除または無効化
IPv6機能を有効にし、OCN向けのIPv4 over IPv6(MAP-E)設定を使用
といった対応が必要になるが、この点がルータのUI上では直感的に分かりにくい。特に「レンタルルータ=自動で最適化される」と思っている利用者にとっては、設定変更が必要であること自体に気づきにくい。
TP-Link Archer AX80 における具体的な設定ポイント(OCN IPoE/MAP-E)
TP-Link Archer AX80(レンタル提供品)の管理画面にログインすると、設定は主に
「詳細設定」→「ネットワーク」 配下で行うことになる。
1. PPPoE設定が残っている状態
まず確認すべきなのが、以下の項目である。
詳細設定
ネットワーク
インターネット
ここにある 「インターネット接続タイプ」 が
PPPoE になっており、OCNの接続ID(xxxxx@ocn.ne.jp)とパスワードが設定されている場合、
IPoEが利用可能になっていても、AX80はPPPoE接続を優先して使用する。
この状態では、
IPv6自体は有効
しかしIPv4通信はPPPoE経由
となるため、接続確認サイトでは PPPoE接続 と判定される。
2. IPv6(IPoE)設定の確認
次に確認するのが IPv6 設定である。
詳細設定
IPv6
この画面では、以下のような設定になっていることが多い。
IPv6:有効
インターネット接続タイプ:自動取得
IPv6アドレス取得方法:DHCPv6
IPv6 LAN設定:有効
OCNの場合、IPoE(IPv4 over IPv6)は MAP-E方式 で提供されるが、
AX80ではこのMAP-E設定が明示的に表示されない場合があり、
「IPv6を有効にするだけでよい」ように見えてしまう点が分かりにくい。
3. IPoE(MAP-E)接続にするための実質的な手順
OCN × Archer AX80 環境で、IPv4通信をIPoE(MAP-E)に切り替えるためのポイントは以下になる。
PPPoE設定を削除または無効化
「インターネット接続タイプ」を
PPPoE → OCNバーチャルコネクトに変更OCNの接続ID/パスワードを未設定の状態にする
IPv6を有効にしたままにする
「詳細設定」→「IPv6」で IPv6 が有効であることを確認
設定を保存
ルータを再起動
この状態になると、
IPv6通信:IPoE
IPv4通信:IPv4 over IPv6(MAP-E)


という構成になり、接続確認サイトでも IPoE接続 と判定されるようになる。
4. 分かりにくいポイント
AX80の分かりにくさは、以下の点にある。
「PPPoE設定が残っている=IPoEが使われない」ことがUI上で明示されない
IPoEが提供開始されても、自動では切り替わらない
「OCNバーチャルコネクト」を選ばない限り、IPoEにならない
「IPv6を有効にしただけ」では不十分
「レンタルルータなので自動で切り替わる」と誤解しやすい
結果として、IPoE提供開始後もPPPoE設定が残り続け、
利用者が意識しないままPPPoEでサービスを使い続けてしまう。
5. 技術的に知識がない利用者への影響
今回のように、
プロバイダ:OCN
ルータ:TP-Link Archer AX80(レンタル)
という組み合わせでは、
PPPoE設定の削除が必要であること自体に気づけない 利用者が多いと考えられる。
接続できている以上、問題が表面化しにくく、
結果として「IPoEは遅くないはずなのに速くならない」と感じる原因にもなり得る。
