テレビ報道に感じる違和感~本当に知るべきことを、私たちの未来のために〜
私はあまりテレビを見ません。理由は二つ。
一つには見たいと思える番組がほぼないからです。
以前はニュースくらいは見ていましたが昨今はニュースだと思って見ていると始まるグルメ・映えスポット・お得情報、まるで番組自体が消費を促すコマーシャルみたい。タレント・お笑い芸人による言葉・内容の薄いレポートや、時としてしつこいほど執着する事件報道!
そしてもう一つ、そういった情報は満載な一方で私たちが本当に知るべきことがほとんど報道されないことにうんざりしてしまったからです。この傾向は最近特に顕著だと感じます。
気候変動を例にとってみましょう。
今年1月にIPCCシンポジウムを聴講した際、気象キャスターの方が「これから私たちもデータを裏付けとしてテレビで温暖化問題を取り上げることができる、取り上げていきたい」とおっしゃって私はこれに大いに期待したのですが、残念ながらお天気情報が変わる気配をまだ感じられていません。
長年温暖化を取り上げてきた某局プロデューサーからは「業界が温暖化報道をタブー視している」と聞きました。温暖化の仕組みを説明するには長い尺が要ることもまた取り上げられにくい理由の一つとのことでしたが、それは全く本質的なことではないと思います。
つい最近、”気候変動に対して個人の責任を感じる割合が日本は調査対象31カ国中で最下位(35%)”、また ”「気候変動に対処する行動をとらないと次世代の期待を裏切る」という意見に同意する割合も非常に低いこと"が明らかになりました。日本は気象学上温暖化の影響を大きく受けるところに位置していて、実際海水温の上昇率が世界平均の2倍であるにも関わらず!です。夏の暑さや冬の大雪は災害級で、温暖化の影響はもはや誰にとっても他人事ではないのに一体何故こうも意識や関心が薄いのでしょう。
私は、変動している気候の事実とそれへの適応だけを報じて、原因が人為的なものであること*、だから原因は私たちにしか取り除くことができず、未来のために何十年かかっても取り除く責任があるということを報じない点において、報道の沈黙の責任は大きいと考えています。
沈黙はもちろん気象情報だけではありません。
50を超える国が脱炭素ロードマップ策定を目指して集結したサンタマルタ会議に日本が参加しなかったことはニュースに値しないですか?
国際司法裁判所は「各国には温室効果ガス排出量を削減し、気候を守る法的義務がある」と勧告し、国連が(日本も)これを支持しました。ご存知でしたか?
そういう状況のなか、世界の国々や各自治体・企業はあなたとあなたの大切な人の未来を守るために驚くべき素敵な努力を続けています。幾つくらい知っていますか?
さて気候変動を例にしましたが、テレビでは他にも報道に値すると思われることが報道されなかったり、報道されても誘導的だと感じることが残念ながら多々あります。そしてそれらの多くは私たちにとって決して知らなければそれで済む問題ではありません。
20年後、30年後、50年後。
その時あなたは何歳でどんな暮らしをしているでしょう。
そこに安心できる未来は見えますか?
物価高 赤字国債 平和国憲法 農業の衰退 地球温暖化 自然破壊
未来を脅かす問題は今、そこにあります。テレビが報道しなくても確かにそこにあるのです。そしてもし「あ〜、知らなかった。だから何もしなかった」とか、「知ってたよ、だけど何をすればいいか分からなかったから〜」という人が大多数だったら、普通の暮らしは10〜20年後にもこうした問題に飲み込まれることになるかもしれません。
どの問題もすぐに解決できるものではありません。
だからこそ一人でも多くの人が今、問題意識を持つことが何よりも求められるのです。問題を正しく知って、どうすればいいのか・何ができるのかも知りましょう。
そうすればあなたは、あなたが決して一人ではなく、団結して未来を変えようと声をあげている仲間がすでに沢山いることもきっと知ることになるでしょう。
(*政府間パネルであるIPCCは2021年に 「人間活動が温暖化の主因であることに疑う余地がない」と結論づけています。)
