【24話】消えない残響。まだ、この熱の中にいたい。
夢のような時間は、あっという間に過ぎていきました。
聴きたかった曲が流れた瞬間、堪えていた涙が溢れ出したり、歌詞の一言ひとことに背中を押されたり。ライブの間だけは、複雑な現実も、胸の奥の澱みもすべて忘れ、ただ押し寄せる音の波に身をまかせていました。
会場をあとにし、心地よい耳鳴りを連れて友達と帰路につきます。
最寄り駅に着き、「楽しかったね、お疲れ様!」と解散。明日は仕事が休み。その解放感が、ライブの余韻をさらに甘く、深いものに変えていました。
一人になった駅のホームで、7歳下の彼から連絡が入ります。
「ライブ、本当によかったね」
少しだけ余韻を分かち合ったあと、彼が不意に言いました。
「今、ホテルに着いた。……〇〇駅(私の職場の最寄り駅)の近くだよ。来る?」
驚きました。彼は私の職場がどこかなんて知らないはずなのに。
偶然選んだ彼の宿泊先が、私の生活圏のすぐそばにある。その事実に、抗えない引力のようなものを感じずにはいられませんでした。
冗談まじりの、誘い。
いつもなら慎重になるはずの私が、その時は自分でも驚くほど、迷いなく答えていました。
「行く」
ここから先は
634字
¥ 400
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
