【10話】幸せの余韻と、消せない孤独。心まで繋がれない「夫」との冷え切った家。
ガタンゴトン、と規則正しく揺れる電車の窓。そこに映るのは、ついさっきまで彼に抱かれていた「女」の顔をした私でした。
彼に送った「本当に楽しかった」というLINE。
すぐに届く「俺もすごく楽しかった」という返信と、今日撮った二人の写真。
イヤホンから流れるお気に入りの曲さえ、すべて彼との思い出を彩るBGMに聞こえて、私は幸せな余韻に浸っていました。
でも、最寄り駅が近づくにつれ、車内の冷房とは違う冷たさが、じわじわと肌を刺し始めます。
これから帰るのは、13年連れ添った夫の待つ家。
「もうすぐ家に着くよ」
夫に送ったLINEは、いつまで経っても既読になりません。
「まだ機嫌が悪いのかな……」
重い足取りで駅の階段を降りる私は、もう「女」ではなく、不機嫌な夫の顔色を伺う「妻」に戻らざるを得ませんでした。
13年という月日が変えてしまった、夫の態度と雑な夜。
「この人の子供は産めない」と確信し、私が密かに飲み続けているピルの正体。
壁一枚の向こうに夫がいる暗闇で、確信してしまった「夫が邪魔」という残酷な本音。
最高に幸せな時間のあとに待っていた、地獄のような現実の記録を綴ります。
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