【12話】主(あるじ)の消えた1LDK。身勝手な男の背中と、ようやく手にした「真実」
「自分の部屋がない」「居場所がない」
今の1LDKに住んでから、夫が口癖のように繰り返してきた不満です。
でも、この家を決めたとき、内覧の予約も不動産屋との連絡も、すべてやったのは私でした。実家を勢いで飛び出したいと言い出したのは彼だったのに、いざとなれば非協力的。何度も「もっと他も見なくていいの?」と確認した私に、彼は「ここでいい」と言い切ったのです。
それなのに、住み始めれば文句の嵐。
そんな彼が、皮肉にも私の「別居しよう」という言葉で、ようやく自分から動き出しました。
かつてこの家を紹介してくれた知人に連絡し、あっさりと次の家を見つけてきた夫。
「次は職場も近いし、家賃も安いアパートにしたから」
そう報告する彼の顔は、どこか新しいおもちゃを手に入れた子供のように晴れやかで、私の心には言いようのない虚しさが広がっていました。
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