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【11話】彼への依存、夫への淡い期待。壊れゆく日常の中で選んだ、私なりの自立


見た目は何も変わらない日常が始まりました。
朝起きて、夫に挨拶をし、仕事に行き、夜はリビングのソファーで眠る。
けれど、私の心の中には、あの日から「彼」という確かな居場所ができていました。
夫との会話は、最低限の事務連絡だけ。
心ここにあらずの私を、夫は不機嫌そうに眺めています。
次の日の夕方、私は家から少し離れたスーパーに向かいました。
駐車場に車を止め、買い物カゴを持つ前に、まず彼に電話をする。それが今の私にとって、唯一心が平穏でいられる「儀式」になっていました。
「もしもし。今、スーパーなんだけど……」
彼の声を聞くだけで、家の澱んだ空気が浄化されていくような気がしました。
けれど、あまり長く電話をしていれば、買い物にしては不自然だと疑われてしまう。
「……また後でね」
名残惜しさを押し殺して通話を切り、私はひとり、ハンドルを握りしめて強く思いました。
「誰にも、夫にも、何も気にせず彼と繋がっていたい」
その願いが、私の足を「ある場所」へと向かわせるきっかけになったのです。

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