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【15話】幸せの絶頂から奈落へ。初めての遠距離、初めての「さよなら」。

お互いの時間が許す限り、通話を繋ぎっぱなしで過ごす毎日。
ご飯を食べながら、テレビを観ながら……。
30代の私にとって、そんな「繋がったままの日常」は、若さゆえなのか時代のせいなのか、とても新鮮で刺激的でした。
初めての遠距離恋愛。
でも、彼がマメに連絡をくれるおかげで、物理的な距離は全く感じず、まるで彼がすぐそばにいるような感覚でした。
もちろん、胸の奥には常に夫への罪悪感が澱(おり)のように溜まっていました。それでも、日課となった「寝落ち通話」の安らぎが、その苦しさを忘れさせてくれていたのです。
待ちに待った、彼に会える日。
いつものように通話を切り、私は2時間半の路程を越えて彼の元へ向きました。
駅まで迎えに来てくれた彼。その笑顔を見て、不安は一気に吹き飛びました。
彼の家でゆっくりと過ごし、愛を確かめ合う時間。
泊まっていくこともできましたが、私はあえて帰ることを選びました。
「自由になったからといって、羽目を外しすぎてはいけない」
それは、私なりの小さな自制心でした。
「またね。気をつけて帰ってね」
そう言って送り出してくれる彼。
行きはあんなに短く感じた2時間半の電車が、帰りはひどく長く、名残惜しさに包まれていました。
でも、最寄り駅のホームに降り立った瞬間、私のスマホに届いた彼からの一言。
それを見たとき、指先から血の気が引いていくのが分かりました。
たった2時間半。その間に、私たちが築いてきたものは音を立てて崩れ始めていたのです。

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