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泣いていたのは、20年後の僕だった

27歳の僕が、真夜中に読んだ1冊の漫画。 そこに描かれていたのは、20年後の自分かもしれない未来だった──。
成果の出ない仕事、続かない恋愛、どん底の自己肯定感。 「このままじゃ終われない」と1冊のノートに人生をかけた計画を立てた。
何もかもうまくいかない社会人が、 “仕組み”という武器で少しずつ人生を取り戻していく物語。


第1章:未来を見てしまった夜


夜中の2時だった。 眠れずにスマホを眺めていると、ふと目に止まったのは、ある漫画だった。40代後半の独身男性。仕事は派遣、彼女はいない。割引シールの貼られたスーパーの惣菜を手に、ひとりの部屋で黙々と食べている。誰とも話さず、誰にも頼らず、テレビの音だけが部屋に流れていた。

──ああ、これが20年後の自分かもしれない。

目が離せなくなった。ページをめくるたび、胸が苦しくなっていく。そのキャラクターの哀愁は、他人事ではなかった。
「こんなはずじゃなかった」 その言葉が、心の底から込み上げてきた。

僕は27歳だった。正社員として働いていたが、仕事には自信が持てず、恋愛もうまくいかない。休日はYouTubeとアニメに埋もれ、食事はコンビニ。生活に色はなく、ただ時間だけが過ぎていた。

その夜、僕は自分の未来を、漫画の中に見た。そして決めた。
「このまま終わらせたくない」


第2章:なんとなくうまくいく気がしていた子ども時代

子どもの頃、僕は「なんとなくうまくいく」と思っていた。とてもポジティブで楽観的な子どもだった。

勉強は得意ではなかったけれど、テスト前にはそこそこ頑張って平均点以上は取れていた。部活でも目立つ選手ではなかったが、毎日ちゃんと顔を出して、それなりに居場所があった。友だちもいたし、大きな問題もなかった。好きなように生きてきた。

家族には「真面目で優しい子」と言われて育ったし、先生からも「賢い子」と褒められていた。だから、将来も「なんとかなる」と思っていた。

大学に入ってからも、その感覚は変わらなかった。好きなことを好きなようにやる。講義をさぼっても、期末レポートだけで単位は取れた。バイト先では「ちゃんとしてる」と評価され、就活も、最初はどこか「なんとかいけるだろう」と高を括っていた。

でも、現実は違った。


第3章:気がつけば何も見えなくなっていた未来

就職してから、大きな壁にぶつかった。
配属されたのは営業部。 最初は早く仕事ができるようになるぞと意気込んでいた。だけど、全然うまくいかない。人と話すのは苦手ではなかったけれど、相手の懐に飛び込むようなスキルもなければ、押しの強さもない。それに自信がない。自分のせいで問題が起きたらどうしよう。不安でたまらない。

成果が上がらないストレス。 うまく営業ができないストレス。 分からないことが多すぎるストレス。 ミスや漏れがあるかもしれないというストレス。

やっても、やらなくても苦しい。
──ただひたすら、ストレスが溜まっていく日々だった。

気がつけば、仕事に行くのが嫌になっていた。 成果が出ていないことに対して、申し訳なさと恥ずかしさを感じ、 やっても結果が伴わないという無力感と、やったとしてもきちんと納品できるのか分からないという不安に襲われていた。

昼ごはんを食べると吐き気をもよおすようになり、 体重はどんどん減り、顔色は青白く、やつれていった。

プライベートもうまくいかなかった。 なんとなくの恋愛では長続きせず、心が通わないままフェードアウトしていくばかり。
行き当たりばったりの関係。 「誰かと一緒にいたい」という気持ちだけが先走り、相手の気持ちや関係性を築く視点が欠けていた。

家と会社を往復するだけの毎日。 仕事もうまくいかない。 プライベートも満たされない。

「自分はこのまま、どこにもたどり着けないのではないか──」

気が付いたら2年が経っていた。
絶望が胸に広がっていた。


第4章:1冊のノートから始まった覚悟

そんな絶望の中、たまたまスマホに流れてきた未来の自分。
「このまま終わりたくない」
ここが人生最後のチャンスであると、覚悟を決めた。変わるなら今しかない。

僕が最初にやったのは、文房具店に行くことだった。 目当ては1冊のノート。手触りのいい、真っ白なノート。 ページを開き、最初に書いた言葉は、
『理想の自分』
だった。

なりたい自分を書き出した。
年収を上げたい、自分に自信を持ちたい、誰かと愛し合いたい──
そして、そんな自分になるために人生をかけた計画を立てた。

5年後、すべて叶える。

そのために今年は何をするか。毎月の行動の計画を立てた。

僕は過去、何度も「なんとなく」で行動しては失敗してきた。なんとなくの行動じゃ続かない。自分を動かすための仕組みが必要だった。そのために細かな計画を立てた。

そしてまず「この思いを燃やし続けること」から始めた。忘れてしまえば元通りになるのが怖かった。毎日ノートを開くことを習慣にすることにした。

朝7時、目が覚めたらまずノートを開く。 ノートの予定表に“人生逆転ノートを開く”と書き、チェックを入れる。
夜は勉強と振り返りの時間。まずは恋愛と仕事の基礎から学ぶ。 行動したらチェックをつける。

生活スタイルをまるごと変える覚悟だった。

1週間後、すべて実行できた自分に少しだけ自信が持てた。

さらに行動していくために、机と椅子を買い換え、 目標を大きな紙に書いて部屋の壁に貼る計画をノートに書き込んで取り組んだ。 週末は1週間を振り返り、次週の予定を立てる。
次第に習慣のサイクルが整ってきた。 朝活、筋トレ、読書──人生を変える小さなアップデートが積み重なっていく。


第5章:初めて、恋に向き合った日

恋愛も仕組みでうまくいくようにする。
そう思って、彼女を作るまでの計画を立てた。最初の1ヶ月で僕は恋愛の基礎や男女の違いを学びはじめた。YouTubeに書籍にナンパ音声、とっかかりになりそうなものは全て使った。

ノートに恋愛の勉強時間を書き込んで、取り組んだらチェックを入れる。

そして2か月目からマッチングアプリで出会いを増やし、見た目やコミュニケーションも磨いた。 初デートは緊張でうまく話せず、既読スルーされて傷つく日々。
でも、毎回「なぜダメだったのか」をノートに記録し、振り返った。

少しずつ自然体で話せるようになってきた頃、 笑顔が素敵な女性と出会った。「一緒にいると楽しい」と言われたとき、 いままでの努力が少し報われた気がした。


第6章:僕が“仕事を動かす”側になれた理由

仕事も変わっていった。
まずは行動計画を立て、自分なりの改善策を作った。

「こういうふうに目標を達成していきたいのですが、どう思いますか?」 と、上司や先輩に相談した。

最初は怒られると思っていた。 でも、もう“自分で考えている状態”になっていた僕に、 先輩たちは具体的なアドバイスをくれた。
社内の仕組み、案件の進め方、人の頼り方──

アドバイスをノートに書き込んで取り組んだらチェックを入れる。

自分から仕事を仕掛けていくことを覚えた。そして次第に「自分が仕事をコントロールしている」という感覚が芽生えてきた。 進捗を報告し、アドバイスをもらい、成果に結びつけていく。
スピードも、質も、周囲の反応も変わってきた。


第7章:崩れたノートと破れた恋

仕事がうまく回り始めたが、目標を達成するためにかなり無謀な計画を立てていた。その計画を実行するために、夜遅くまで働くことが多くなっていった。土日も働くことが増えていった。疲れがたまっていく。

朝がしんどくなって出社ぎりぎりで起きることが増えていった。夜もYoutubeみて過ごすことが多くなった。土日も疲れをとるために家でごろごろすることが多くなった。

いつの間にか「人生逆転ノート」を開くこともなくなっていった。

彼女と会う時間が少しずつ減っていって、連絡する頻度も減っていった。

目の前のやることに追うようになって、年始に立てた目標のことを忘れてしまっていた。計画を立てることがなくなって、毎日Youtubeを見て終わる。そんな日々になっていた。

たまにノートを開くけれど、空白になっている期間を見て、気力がなくなってしまう。続けることが出来ない。

そんな日々が続いて、9月ごろ1通のLINEが届いた。

「他に好きな人ができたので、別れましょう」

初めての彼女との交際期間は3ヶ月で終わった。


第8章:手に入れて失った始まりの1年

今年も残り3ヶ月。気がつけば、僕の手元に残ったのは仕事だけだった。
「せめて仕事だけでも結果を出したい」。 そう思って、僕は出社して、仕事を進め続けた。

そしてまだクリスマスまでは時間がある。彼女を作るには、遅くはないはずだ、なんとかなる。──そう思って、婚活パーティに申し込んだ。

でも、どこかで心がついていっていなかった。 あれだけ燃え上がっていた気持ちが、すでに消えかけていた。

「年始に立てた目標を、ただ埋めるために行動しているだけじゃないか?」

僕は、気づかぬうちに“なんとなく”の自分に戻っていた。

「人生逆転ノート」は、もうずっと開いていない。 計画も、振り返りも、しなくなっていた。

年末に近づくにつれて、仕事は怒涛の忙しさに。 婚活パーティには行ったり行かなかったり。

それでも、12月。大きなプロジェクトを無事にやり遂げた。 営業成績は70%だったが、前年よりも大きく伸びた。 上司からは評価され、昇進の話も出てきた。いつの間にか昼ごはんも、きちんと食べられるようになっていた。 仕事に追われていた僕が、仕事を追えるようになっていた。

──ただ、彼女はいなかった。
今年のクリスマスも、1人だった。 でも、「自分にも彼女ができる」と実感できた1年だった。 そして何より、“行動したこと”が僕に自信をくれた。

思えば、恋愛も仕事も、最初は「両方頑張る」と欲張っていた。 でも僕には、それを同時にうまくやる力はなかった。
優先順位をつける必要がある。僕にとって「家庭を築くこと」が1番の幸せだ。
その大切なことを見失っていたのは、「人生逆転ノート」を開かなくなったからだった。

仕事はうまくいくようになった。 彼女もできて、自信がついた。
でも、生活の軸が崩れ、別れてしまった。 もしノートを見て、振り返り、計画を立てていたら── あの時の自分を戻せたかもしれない。

次はもっとできる。


第9章:大切なものを取り戻す再起動

年が明けた。
今年の目標を立てる。 今度こそ、「恋愛を1番に考える」。
仕事の優先順位は下げる。家族こそ、僕の人生の中心だから。

仕事はうまくまわり始めていた。だからこそ、効率化して時間を作る。 必要のない仕事は断る。手帳に予定を書く。そして、寝る時間を守って朝活の時間を死守する。

このルールのもとで、新しい1年が始まった。

3月、彼女ができた。あの頃の失敗はもうしない。 彼女と過ごす時間を大切にすることができた。

仕事では、売上目標に対する計画を上司と共有し、注力すべきポイントだけに集中。 その結果、はじめて営業目標を達成することができた。そして、ついに昇進を果たした。

理想の自分に、1年目よりもグッと近づけた。


第10章:人生を自分で動かすということ

それから毎日「人生逆転ノート」を毎朝開いている。

恋愛、仕事、お金、健康──自分にとっての“理想の人生”を、自分の手で作るために。

完璧じゃない。失敗する日もある。 でも、もう「なんとなく」は卒業した。

3年目にはさらに飛躍した。仕事では担当内でエースと呼ばれるようになり、もう1度昇進した。年収も800万円に到達した。

彼女との関係も続いており、結婚を視野に入れている。

そして、4年目の今は新たなチャレンジを始めた。
過去の自分と同じように人生このままでいいのかと思っている人に向けて、僕の人生を立て直した方法を伝える活動だ。この活動を通して1人でも多くの人が自分の人生を生きられるようにしたい。

僕もまだまだ人生の途中。でも僕は今、「人生を自分で動かしている」という感覚を持っている。


エピローグ:なんとなくでは、幸せになれなかった

子どもの頃、「なんとなくうまくいく」と思っていた。
でも、あの夜の漫画が教えてくれた。 「なんとなく」では、うまくいかない。

社会人になって、行き当たりばったりで生きていた僕は、 気づけば、崖っぷちに立たされていた。

そこから逆転できたのは、ただひとつ──
『仕組み』を作ったからだった。

毎朝ノートを開き、目標と計画を確認し、1日の行動を振り返る。 ただそれを、淡々と続けた。
「意志」では続かない。「仕組み」なら続けられる。
人生を変えるために、特別な才能や運は必要なかった。 必要だったのは、「変わりたい」と願った気持ちと、それを支える“仕組み”だった。

もし今、あの日の僕と同じように悩んでいる人がいたら──
この言葉を、そっと手渡したい。
なんとなくでは、人生は変わらない。
人生を変えるには、仕組みがいる。
僕もまだ夢の途中。あなたともに目指していきたい。

#創作大賞2025

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