子どもの頃、何度も読み返した本
子どもの頃、『長くつ下のピッピ』が大好きでした。スウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンによる児童文学作品です。
ピッピは、赤毛でそばかすだらけの9歳の女の子。とっても風変わりで、超人的な怪力の持ち主。大人に媚びず、自分の考えで行動する自由な精神にあふれています。
学校に行っても型破りすぎて大騒ぎになるし、泥棒が来たら軽々と持ち上げて追い払ってしまう。サーカスでは力自慢のおじさんすら投げ飛ばすピッピは、子どもらしい常識なんてとっくに超えて、大人のルールや権威にも疑問を投げかけてくれていました。日本では『世界一強い女の子』の副題がついていて、私にとって憧れのヒーローは、ピッピでした。
1945年に発表されたこの作品。その頃に、自立した女の子が主人公という点でも、やっぱりすごいなぁと思います。
私は、そんなピッピになりたかったんです。髪型を真似することはできなかったけれど、片方ずつ色の違うハイソックスを履いてみたこともあります。しかし、まったくの小心者で、思っている事すら大人に言う事はできませんでした。
あの頃の私は、ピンクのリボンやフリフリの服が苦手で、ピアノの部屋に閉じ込められるのも、とても嫌いでした。けれど、そんなことをはっきり言う勇気はなく。ピッピのように、堂々と自分の気持ちを表現できる姿に何度も会いたくて、本の中に逃げ込むだけでした。
ピッピは、基本的にひとりで暮らしています。自由で、力もあって、動物と一緒に好きなように生きていて、すごく楽しそうだけど、ちょっとだけ寂しそうな面もあったり。物語の終盤には、お父さんが船で迎えに来て、「一緒に南の島で暮らそう」と誘います。彼女がずっと待っていた、夢のようなチャンスのはずですが、彼女の選択がまたかっこいいのです。
ピッピが教えてくれたのは、なんでもできることよりも、自分で選ぶことの大切さだったのかもしれません。子どもの頃は、自由に憧れていたけれど、大人になった今は、ほんとうの自由ってなんだろう?と考えています。
私は子どもの頃から本を読んでいました。それは、逃げ場に近い感覚でした。
ピアノ教室からこっそり抜け出して、図書館で本を読んだ日。
転校先の山奥で、標準語が通じずに話すことをやめた日。
美術部で漫画に出会って、少女漫画を通じて共通語を見つけた日。
英会話教室で「ナンシー」になり、スーザン(紗織ちゃん)を助けようとしたあの夕方。
いつも本と一緒でした。知らない場所や感情、誰かの生き方から何か突破口があるんじゃないか?と思いながら読み続けていました。社会人になってからは、読書から得た考えをもとに書いた論文でイタリア研修に行けたこともあります。本を読んで、自分の頭で考えて、行動する。それが、少しずつ人生を動かしてくれた気がします。
ピッピにはなれなかったけれど、常識とちょっと距離をとりながら、本を道しるべにして、自分の小さな冒険を重ねてきたように思います。
実は3年前に、私と本との関係をテーマに5本のエピソードを書いたことがあります。あまりに粗削りでお恥ずかしいのですが、マガジンにまとめていますので、ご興味ありましたら、読んでいただけたらうれしいです。
読書って、誰かの人生を借りながら、自分の人生を少しずつ歩きなおすきっかけ探しかもしれません。
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