深海に住む人
遠浅の美しい海にいるカラフルな魚に憧れていても自分が深海の魚だったら息苦しくて生きていかれない。
圧倒的多数の価値観の世界にまさに圧倒されて生きてきた深海に住んでいるような人たちを助けたいという一見優しい人。でも、その人は深海こそその人の居場所かもしれない。引き上げられたら苦しくなるかもしれない。
その人のちょうどいい深さがあるだけなのかもしれない。自分と違う深さにいたら苦しくてもがくかもしれない。いくら深くてもちょうどいい深さに身を置いた方が軽やかに動けるのかもしれない。
人は変わりたいのか戻りたいのか──。
遠浅のカラフルな魚のいる美しい海だけが海ではない。遠浅の海が美しいのは充分知っているから。
深海は深海で美しい。静かで深いそんな世界もある。

