春のような温かさがいつもある学校に… 破れて風に散り去ったもの 〜心の宝物409
🌸力強い後ろ姿
山に囲まれた小さな学校
卒業式まで1週間。1年をかけて子どもたちと先生方が、学校の自慢と言えるまでに磨きあげてきた掃除に、現在のメンバーで取り組むことができるのも、残りわずかな回数となりました。
6年生の彼は、今日も真っ先に掃除場所に向かいます。
寒くてもつらくても「自分から進んで」という心の持ち方を大切に、それまでの「無言」という姿に「自主」という値打ちを加えて掃除に取り組むことを、彼は後期の美化委員長として提唱しました。決然と掃除場所に向かう後ろ姿に、口にしたことを自らの姿で示す決意が、炎のようにゆらいで見える気がしました。
🌸破れて風に散りさったもの
児童玄関から続くホールが、彼の最後の掃除場所でした。
下級生にほうきを任せ、彼は雑巾を手に取ります。膝をつき、力を込めて、集中して床を磨く姿は美しく、力強く、委員長としての責任感と説得力に満ちています。
それでいて周囲にも細やかに気を配っており、視界の端に下級生の戸惑いをとらえるや、素早く寄り添って教え、支え、見届け、認めて笑顔を確認した上で、自分の仕事に戻ります。
サッカーが大好きで活動的な彼の、年度当初の姿は、しかし、今とは少し違いました。
休み時間の、サッカーのPK遊びでは常にキッカー。同様に、常にキーパーの子がいて、更に常に球拾いの子がいる、そういう関係性に疑問や心地悪さを感じていない、あるいはそう見えるように振る舞うところがありました。
それから1年。様々な、と言えばたった3文字ですが、無論それでは語りつくせない様々な日常を経て、今の彼がいます。
君の何かが大きく変わったとか、君の中味が全く新しい何かと入れ替わったとか、私はそんな風には思わない。寧ろ、君の本質は何ら変わっていないと思う。
それまでの時間の中で、君や仲間の上に、重苦しくまとわりついて、柔らかく繊細な部分を覆い隠していた布のようなものが、この一年の様々な経験の積み重ねの中で、少しずつ擦り減り、端切れが破れて風に散り去ったように見える。
それにより、今まで隠されていた、傷つきやすい本質があらわになってきた。それをあらわにしていても、傷つけられることはないのだ、大丈夫なのだという安心感が春の風のように君自身や6年生の仲間にそよいでいる。その温もりの中で、それぞれの本質の花が、今、咲き合っている。
どんな花より美しい花を、君は、君たちは、クラスに、この学校に咲かせてくれたのだ。
本当にうれしい。
かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで
