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「これから、どうする?」 目覚めてから始まる物語 映画『白雪姫』 2025年公開【映画感想】

*ネタバレとなっております。ご注意ください*

吹替版で鑑賞。ディズニー映画『白雪姫』。
来場者特典は小さめのクリアファイル。

『白雪姫』イオンシネマの来場者特典はミニファイル。

大雪の日に生まれたから、白雪姫。
あちこちに配慮して作った結果、どんな国か、どんな気候かも分からなくなってしまった感じがある。ディズニーらしい技術は感じるが、どこかぼんやりしたおとぎ話の世界。

思ったほどは悪くなかった。が、良いとも言いにくい。ガル・ガドットの悪の女王だけ、字幕版も見てみたい。

白雪姫(レイチェル・ゼグラー)の吹替(吉柳咲良)は芯の強い歌声で、白雪姫が「初めから美しかった子」ではなく、奇跡を願うだけでなく行動して初めて「美しくなる子」を表していた。

女王(ガル・ガドット)は、映画『ワンダーウーマン』でも力強い美で画面が狭いほどだったし、今回も劇中歌で「美は正義」「美しければ何でもアリでしょ」と強い眼差しでこちらを射竦め、思わず「…ハイ」と言いたくなってしまう。吹替の月城かなとが歌い上げる、城の階段のシーンは、悪役ながら線の太い美で印象に残る。

これが舞台になるなら見てみたいと感じさせる、オーソドックスで馴染みのいいミュージカル部分、小人による宝石採掘とトロッコのシーンなどアトラクション的な面白さに加え、吹替版では白雪姫と女王が堂々たる歌唱力で盛り上げる。

残念で仕方ないのはジョナサン(アンドリュー・バーナップ)の吹替(河野純喜)。
アンドリュー・バーナップの顔立ちは、よく見つけてきたな!と思うほど古風でディズニーのおとぎ話らしい佇まい。彼が演じるジョナサンは、洗練された貴族さまではなく、森で仲間と生きる逞しさと素朴な視線を持っている。その吹替として、誰か(大勢)の王子様になるために鍛錬してきた出し方の声は、ジョナサンのキャラクタに似合わない。

今回の映画『白雪姫』は、中盤までおおむね我々が知った通りの展開で進む。しかし毒リンゴに倒れた白雪姫を目覚めさせるのは、いつかどこかから現れる通りすがりの王子様ではない。食べ物を盗みに城に入った泥棒(山賊)であり、白雪姫の強さに心を動かされて共に戦うジョナサンである。いい設定だと思うのに、白雪姫とジョナサンの距離の近さが、この吹替配役では活かされない。

終盤。毒による仮死から復活した白雪姫に、七人の小人が問う。
「これから、どうする?」

それは観客からスクリーンへの問いでもある。
ここからが、映画が見せたかった、これまでとは違うストーリーのはずで、期待が高まる。
ここまで、「優しさなんて何になる?」「力こそ全て」の権力側と、主人公の闘いという、残念ながら近年こればっかり!な展開である。さあ、わざわざ古風な白雪姫の物語を実写化して、ここからどう仕上げたのか?と興味を持って見た。

女王によって兵士にされ、同じ甲冑をまとって名前も個性も思考も剥奪された人々が、白雪姫の呼びかけで個々を取り戻し、女王を追い出す。そのラストは、それなりに納得感はある。
白雪姫が、人を個別にきちんと認識しようとする姿は、母の教えだとして、小人との出会いのシーンでも示されているから、唐突さもない。
しかし、「花は美しいがいずれ枯れる。そんな花が何になる? ダイヤのように硬く永遠の、力こそ全て」という、女王が映画の中で2度も口にした主張への、真っ向からの回答になっていないように思える。

「これから、どうする?」という問い掛けは、父(王)が死んでいると判って、この国を救う「他力」の道が閉ざされた白雪姫への問い。残るは「自力」しかないわけで、もう座って奇跡なんか待っている状況ではない、というメッセージかもしれない。
けれどそうだとすれば、この言葉に続けて映画で示されたラストは、結局は優れた統治者が必要だとも受け取れて、見て力が涌いてくるほどではなかった。女王は魔法の鏡の向こうに吸い込まれて消え、残ってひとり鏡に映る白雪姫の姿は、何を表すのだろうか? いまいち分からない。

もう一つ、気になったのは中盤で、ケガをしたジョナサンの治療を、白雪姫が小人の中の「先生(ドック)」に頼む場面。「先生」は、自分がそう呼ばれるのは愛称であって、石には多少詳しいが人間の治療ができるわけではないと返す。ところが、それでも白雪姫はひたすら熱心に「お願い」と頼んで、彼に治療を引き受けさせる。
わたしが途中の説明を見落としたのかもしれないし、ディズニーアニメ版の『白雪姫』を理解していれば納得できる内容なのかもしれないが、白雪姫が自分にできないこと(しかも人の命に関わる重い責任)を、強引な「お願い」で一人に押し付けるように見えて、腑に落ちなかった。

長文お読みいただき、ありがとうございました。

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