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クライアントの笑顔に、一緒になって笑えないとき。

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

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カウンセラーという仕事をしていると、「クライアントの痛みに寄り添い、共に泣き、共に笑う存在」というイメージを持たれることがよくあります。確かに、クライアントが一歩を踏み出し、心からの笑顔を見せてくれたとき、共に喜びを分かち合う瞬間は、この仕事の大きなやりがいの一つです。

しかし、臨床の現場においては、そうはいかない複雑な場面が多々あります。 目の前でクライアントが満面の笑みを浮かべて喜んでいるのに、プロフェッショナルとして、どうしても一緒に笑うわけにはいかない。そんなジレンマに直面することがあるのです。

たとえば、パチンコ依存症の治療で通っているクライアントが、嬉しそうに「パチンコで大勝ちしたんですよ!」と報告してくれたとき。 あるいは、性依存症を抱えるクライアントが、ニコニコしながら「可愛らしい女性をナンパすることに成功したんです」と、その写真を見せてくれたとき。

一人の人間として、目の前の人が嬉しそうにしている姿を見れば、その笑顔につられて一緒に喜びたい、お祝いしたいという自然な感情が湧いてきます。しかし、そこで「良かったですね!」と同調し、無邪気に笑い合ってしまうことは、治療者としては絶対に避けなければなりません。

なぜなら、その「喜び」の正体は、依存症のサイクルをさらに強固にしてしまう「報酬」や「執着」そのものだからです。

ギャンブルでの勝利は依存の泥沼を深める甘い罠であり、特定の対象への過度な接近は境界線を越えてしまう一歩になり得ます。クライアントにとっては純粋な「幸せの瞬間」に見えても、治療的な視点から見れば、それは回復を阻むリスクであり、病理の渦中にいる証拠でもあるのです。

だからこそ、私は一歩引いた冷静な視点を保ち続けなければなりません。 クライアントの「嬉しい」という現在の感情自体を頭ごなしに否定するわけではないけれど、その喜びの波に飲み込まれることなく、ニュートラルな位置に踏みとどまる。

「そうだったのですね」と、その事実は静かに受け止めつつ、眼差しは常に「本当の回復」という、もっと先にあるゴールを見据えている。

目の前で無邪気に喜ぶクライアントを前にして、自分一人だけが冷徹とも言える冷静さを保ち、静かに佇んでいる時間。それは、言葉にできないほど孤独で、非常に強い精神的エネルギーを求められる瞬間です。

「冷たいカウンセラーだ」と思われるかもしれない。そんなもどかしさや葛藤を胸に抱えながらも、クライアントの人生の「本当の幸福」を守るために、あえて一緒には笑わない。

この、一見すると少し冷たくも見える「引き算の関わり」こそが、依存症治療におけるプロフェッショナルとしての深い誠実さであり、本当の意味での優しさなのではないか。

私は今日も、目の前の笑顔の裏にある複雑な背景にアンテナを張り巡らせながら、共に歩むための絶妙な距離感を探り続けています。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
            カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋

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