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焦った女、嘘をつく。

出会った大人の男性が、ホテルで豹変した。カフェでは知的で紳士的だったのに、部屋では別人。
初対面でホテルへ行ったマッチングアプリ体験談。

緊張している。
こんな風にカフェで男性と向かい合う経験は
ほとんどない。しかもよく知らない人だ。

この時の私はアプリに登録してから日が浅かった。
待ち合わせの場所は最寄りではない駅だ。
彼には最寄りということにしている。


彼のことはジキルと呼ぼう。知的で博識な男性だ。


彼がやってきた。
車を知らない私でも感覚でわかるいい車だ。
洋服も、力が入りすぎてないおしゃれさがある。
私は彼のすべてに圧倒されそうだった。

そのままホテルに直行するのは味気なくて、
ジキルの美学に反するらしい。
二人用の小さいテーブルに向かい合って座った。
昨今のカフェはテーブルが小さすぎると
ひそかに思っている。

まるで面接だ。不合格ならこのまま解散なのか?
見定められているような感覚だ。
ジキルはそんなつもりはないのかもしれない。
私の劣等感が顔を覗かせているのだろうか。

ガチガチに緊張した私はひたすらに
様子をうかがう。ジキルは落ち着いていて、
私に話を振ってくる。彼はあらゆる分野を話せるようだ。私たちのプロフィールの共通点においては
造詣が深かった。

彼にはそこはかとなく自信があるように見えた。
それもそうだろう。国家試験を突破し、
研鑽を重ね今の職を全うしている
大人の男性なのだから。

そしてロマンチストであるらしいことも分かった。
女性を甘やかし、お姫様扱いするのが好きらしい。

なんとなく互いの人となりがわかったところで、
店を出てホテルへと向かう。
私は及第点だったようだ。

部屋に入り私は自分で服を脱ぐことも、
扉を開けることもなくシャワーを浴びている。
私の身体もかいがいしくジキルが洗っている。


貴族の気分だ。


しかしそう思うのも、それまでだった。
ベッドにたどり着いた彼は一変したのだ。
ハイドのようだ。

先ほどまでの私への触り方と全く違う。
雑ではないが、雄っぽさを感じる。

私の身体を点検するように触っていった。

「ほぐそうね」と彼は私の鼠径部に
手をかけ始めた。
そしてすぐに思い切りよく、
私の内側に彼の指が入ってきた。

それは容赦のない動きで私の内側を
彼の指が出たり入ったりしている。
激しい。私の身体は摩擦から身を守ろうとどんどん粘液を出している。

彼は満足げだ。
私としては
快楽をどこかに置き去りにしていった感覚だ。

私は濡れやすい方だと言われることがある。
体質であって
ボルテージが上がっている証拠ではない。

「待って、やめて。」と言ってみたが、
効果はなかった。
言い方が弱かったし、どちらともとれる状況だ。
とにかく彼が飽きるのを待った。

ぴちゃぴちゃというよりペタペタに近い水音が、
響いている。

彼の手首まで濡れていて、
私の膝にも何筋か垂れてきたころ、
彼の指が出て行ってくれた。
彼は嬉しそうにしている。
私はそこが腫れあがっていないか心配だった。

彼の本体が入ってくる。
もう私には大きさや固さがわからなくなっている。
麻痺しているようだ。
「せまい」とご満悦だった。「そりゃあよかった」と私は心の中で投げやりに言う。

彼の眼は獣のようだった。ギラギラとしていて
ブレることなく真っ直ぐ私を見ている。
カフェで話しているときは
想像もつかなかった眼だ。

動きも激しかった。ベッドが壊れるのでは?と
思ってしまうほどだった。
きっとそんなことはないが、
そんな記憶になるほど彼が荒々しく怖かったのだ。

鈍痛が続いている。
私は早く終われと願うばかりだ。
彼は少なくとも「あと4回はできる。」と
言っている。私は恐ろしくなった。

私はもうこの行為から逃れたかった。
「上手すぎて、私がもたない。」と言ってしまった。
彼の自信の一層となる発言だ。

次に会う女性には申し訳ないが、
私も彼を怒らせず安全に帰りたいので致し方ない。

行為が終わった後は、
紳士な彼に戻り私をお姫様扱いしている。
このギャップにやられる女性は多いのだろうか。

別れるまで、私はありとあらゆる彼からの私の個人情報に関する質問を退けた。

今でも時々彼から連絡が来る。
ジキルは諦めないのだ。


ジキルとはもう最初に出会ってから
10か月が経過している。なんという熱意だ。
今なら同じ行為でも別の感想を持つかもしれないとほだされそうになるが、
そうではなかった場合が辛い。
実際、上手かったと言ってしまっている。
次はもっと強引にくるかもしれない。
そういう結論にいたり、
もう会うことはないだろう。

私を気に入っているのとは違うと思われる。
私に袖にされたことで、火がついているだけだ。


ブロックするのは簡単だが、
私は安易に人を遮断するのに気が引ける。
そしてジキルがいつ諦めるのか
気になってしまっている。

ただひとつ言えるのはジキルは
私の手に余る男性だということだ。


てっきり大人な男性は、
野性味溢れる行為はしないと思い込んでいた。
欲望のままの行為なのだから当然なのだが、
私は勝手に年齢でラベリングしてしまっていた。


想像以上に密室で安全を確保するのは難しい。
私は焦った。




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▼ 焦った女、マッチングアプリを貪る。— はじめに 


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焦った女 ここまで読んでくださってありがとうございます。 ここで書かせてもらえているのは、 読んでくださる方がいるからです。 チップは、地味に役立つ乾電池代として大事に使います。 シェアしてくださるのも、同じくらい嬉しいです。 誰にも読まれず、私は焦っています。