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焦った女、リズムが狂う。

マッチングアプリで初対面の男性とホテルに入った。
最初のキスで、違和感があった。
その違和感は最後まで拭えず、
行為は途中で終わった。
初対面のマッチングアプリ体験談。

暑い日曜の昼下がりだった。彼と会った。一目見て思った。ポリシーのある見た目をしている。彼を氣志團と呼ぼう。

慣れた様子でホテルに入る。氣志團は経験豊富そうだ。部屋に入り私たちはキスをした。ん!?と私。声には出さなかった。だが違和感があった。

唇が固い。一度口を離し、もう一度重ねた。そのとき薄目でみた。唇が尖りすぎているのだ。舌が入れば変わるのか?そう思い、彼の舌を誘うように薄く口を開けてみた。舌が入ってくる、さっきよりはいい。でもまだ固い。
緊張しているのか?いやその様子はなかった。彼の中のキスはこうなのか?頭の中がぐるぐると回る。

私の好きなキスはいわゆるハムハムキスだ。相手の上唇や下唇をはさんだり吸ったりして感触を楽しむ。お互いの唇が離れる時の音もいい。もちろん舌を入れるのも好きだ。

氣志團とは若干趣向が違うだけ。そう結論付けた。完璧に趣向が合う人などいないのだ。気を取り直し、私は服を脱ぎ始める。思った通りだ、舌使いが上手い。キスの時は戸惑ったが、その温かくざらついた舌は突起を舐めるのに向いている。丁度いい刺激だった。違和感を拭うべく、集中しようとした。

そんなとき「俺のもしてよ」と彼が言った。まだ続くだろうと予測した。なるほど69かと思ったが、違うようだ。タイミングが合わず少し早い気もしたがまあいい。私は氣志團の股の間に入る。全身綺麗に脱毛されている。サイズも口で覆いやすい。

何も問題ない。そう思いたかった。
でもなぜだろう。あまりノレない。清潔感はあるのに、香りが好きじゃない。汗臭いのではない。彼の体臭とフレグランスの混ざり具合が好きではないのだ。かといって嗚咽するほどでもないのだ。もう何も考えない、そう決めた。
無心で行為にいそしむ。

いい固さになった。
ガチガチにセットされたあの髪のようだ。太すぎず入りやすそうだ。ばっちり決まってる。
彼はゆっくりと入ってくる。ただ少し角度が悪かったのでいったん出て、再度入れなおそうとした。
そのとき「あれ」と氣志團が言う。
ゆるく右へと倒れ始めていた。
私は慌てて固さを取り戻させようと動く。

でも彼は氣づいたのだ。
「今日はここまで」と声がした。

小さな違和感の積み重ねだった。
生理的に無理というほどでもない。
ただずっとズレていたのだ。
氣志團風に言うのなら、
私達がうまくいかなかった事に
理由なんてなかったよ
ただ少しだけ不器用だったのかもしれない

そのまま部屋を出るのも気が引けた私たちは、
部屋にあるテレビで甲子園をみた。
他愛ない話をしながら過ごした。私は冒頭から気になっていた髪のセットについて聞いてみたかったが、聞けなかった。
この頃の私はまだ不慣れで、
突っ込む勇気がなかったのだ。

そして私は内心焦った。
そんなことこれまでなかったからだ。

これは巷であふれる恋愛に関する投稿で、重い女にカウントされるメンタルだ。彼の問題を自分の問題にする女。彼が途中で終わったことにより、「何で!私に魅力がないから?」と無意識に相手を追い詰める。自信のなさゆえの行動。口には出さなかったが、動揺していた。

でも今ならこう思う。氣志團の方がショックだった。時間を作り万全にしてきたはずなのだ。でも日々の疲れなどで、思うように発揮しないことはある。これは事故で仕方のないことだ。ほっとくのが一番。即座に部屋を出ず時間をおいた氣志團は紳士だ。

その夏私はその試合の勝利校をずっと応援した。

キスが合わないとそのあとも
リズムが狂う気がするのだ。
最初にキスしたときに答えは出ていたのだ。

その日のワンナイトカーニバルは不発で、
私は焦った。しかし勉強になった。



このときの違和感を信じて行動したのは、ずっと後のことだった。


▼ 焦った女、待ち構える。


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焦った女 ここまで読んでくださってありがとうございます。 ここで書かせてもらえているのは、 読んでくださる方がいるからです。 チップは、地味に役立つ乾電池代として大事に使います。 シェアしてくださるのも、同じくらい嬉しいです。 誰にも読まれず、私は焦っています。