地方を語る、人生を語る|新居浜銅山に魅せられて
283年間、誰かがここで掘り続けていた。

新居浜に生まれ育った人間なら、誰でも知っている。
この街は、銅山とともに存在した。
別子銅山。1691年に開坑し、1973年に閉山。283年間、山を掘り続けた場所だ。最盛期には日本一の銅産出量を誇り、住友財閥の礎を作った。今の新居浜という街の形そのものが、銅山なしには語れない。
けれど今、山に残るのは廃墟だ。
東平(とうなる)と呼ばれるエリアには、かつての選鉱場跡や索道基地が残っている。「東洋のマチュピチュ」とも呼ばれるその風景は、静かで、重くて、なぜか美しい。
僕はここに来るたびに、妙な感覚に囚われる。
終わった場所なのに、何かが続いている気がする。
なぜ人は廃墟に惹かれるのか。それはたぶん、「終わり」の中に「続けた証拠」が見えるからだと思う。283年間、ここで誰かが毎日山を掘っていた。記録に名前が残る人間なんてほんの一握りで、ほとんどの人は何も残さず去っていった。それでも山は掘られ続け、街が生まれた。
ここで一つ問いを立てたい。
続けることと、終わることは、対立しているのか。
そしてこれは、新居浜だけの話じゃない。日本中の地方に、こういう場所がある。名前も残らず続けた人たちの痕跡が、風景の中に溶け込んでいる。廃線跡、廃校、使われなくなった棚田。どこに行っても、誰かが続けた時間が積み重なっている。
地方を旅するたびに、僕はそれを見つけてしまう。
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