なぜ人はど真ん中で止まるのか
通りを歩いていたり走っていると、道を塞ぐ人がいる。まるで関所の関守だ。
なぜそこなんだ。
なぜ道のど真ん中で立ち止まる。しかも微動だにしない。スマホを見ている。端によってくれれば何の問題もないのだが、よりによって交通の要衝みたいな位置にいる。
改札を出て3歩の地点。
エスカレーターを降りた直後。
コンビニの入口。
「ここで止まったら後続が詰まる」という発想が、人間からすっぽり抜け落ちる瞬間があるらしい。
しかも彼らは、かなり真剣だ。
眉間に皺を寄せ、画面を見つめ、親指を忙しく動かしている。世界の命運でも握っているのかと思うが、たぶん天気予報か動画か、誰かとのどうでもいいやり取りだ。
こちらが近づいても気配すら感じていない。完全に周囲との接続が切れている。あそこまで集中できるのは、ある意味才能かもしれない。
俺は仕方なく体を縮め、横を擦り抜ける。ランニング中などは特に惨めだ。避けるために急減速し、不自然なステップを踏み、「すみません」とも言われないまま通過する。まるで関所を無言で通過する旅人である。
しかし、ここまで書いておいてなんだが、俺も別の場所で誰かの道を塞いでいるのかもしれない。
スーパーでは商品棚の前でぼんやり立ち尽くし、コンビニでは新発売の缶ビールを前に真剣に悩む。家ではリビングで無意味に突っ立っていて邪魔者扱いされる。
そう考えると、人間というのは互いの通行を妨害し合いながら生きているのかもしれない。
ただ、それでもやっぱり、エスカレーター降りてすぐ止まるのだけはやめてほしい。
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