「つながらない権利」って、医療現場だとどうするの?休みの日の電話・夜勤明けの連絡を“ルール化”して、私たちと患者安全を守る話
病院の番号からの着信、心臓に悪い
休みの日に突然かかってくる病棟からの電話。
夜勤明けでやっと寝落ちしたタイミングでの着信。
「何かあった?」「急変?」「ミス?」「私の記録?」って、一瞬で脳が戦闘モードになります。
そして、内容が
「確認だけ」「出勤したらでよくない?」
みたいな話だと、正直しんどい。
でも一方で、医療現場は24時間365日動いている。
シフト制で師長と会えない日もある。
急な欠勤が出れば、穴埋めの連絡が必要になることもある。
だからこそ私は、ここを「根性」や「暗黙の了解」で処理するんじゃなくて、
“つながらない権利”=時間外連絡のルール化(線引き)
として、現場で扱うべきテーマだと思っています。
まず事実:日本では「つながらない権利」は今どうなってる?
結論から言うと、現時点の日本では、勤務時間外の業務連絡そのものを直接規制する明確な法令はありません。ただし、国の議論として「つながらない権利」に相当する考え方(勤務時間外の連絡ルールを労使で検討する必要性)が整理・提起されています。
つまり、いま現場で起きているのはこういう状態です。
「法律で禁止だからダメ!」と単純に言い切れない
でも「何でもアリ」でもない(医療安全・メンタル・労務管理の問題になる)
だからこそ院内・部署内で“ルール”を作る価値が大きい
応召義務がある医師・助産師と、看護師の違い
医師:応召義務(医師法19条)
医師法には、診療の求めがあった場合に正当な事由なく拒めない趣旨の規定があります(いわゆる応召義務)。
ただし厚労省の整理でも、医師個人が「いついかなる時も」無限に応じる前提ではないことや、現代医療では「組織として」対応する設計の重要性が論点になっています。
→ ここから言えるのは、
「休みの医師=必ず即レスして当然」ではなく、“当番・オンコール・体制設計”の話になっていく、ということ。
助産師:保健師助産師看護師法39条
助産師にも、求めがあった場合に正当な事由なく拒めない趣旨の規定があります。
看護師:同じ形の「応召義務」は基本的に置かれていない
少なくとも、医師法19条・助産師の39条のような形で「求めがあれば拒むな」が同型で書かれているわけではありません(※ここは誤解が多いポイント)。
一方で、医療の担い手として良質・適切な医療に努める理念規定はあります。
→ だから看護師は、“義務だから無限に応じる”ではなく、
患者安全と労務管理のバランスを「仕組み」で作るべき職種だと私は思います。
医療現場の「時間外連絡」あるあるが、しんどさを増幅させる理由
連休中に予定外退院 →「サマリーどうなってる?」
急なベッドコントロールで転棟
記録の不備の確認
「出勤した時でよくない?」系の確認電話
病棟番号から着信 → 内容が軽くても心理的ダメージが重い
ここで問題なのは、連絡の内容そのものよりも、
“仕事のスイッチ”を、私生活に勝手に入れられること
なんですよね。
これはメンタルの話だけじゃなく、
疲労・睡眠・集中力・判断力=患者安全に直結します。
じゃあどうする?私が推すのは「連絡を3色に分ける」
現場に導入しやすくて揉めにくいのはこれです。
【赤】今すぐ(電話でOK)
例:
急変・緊急対応で「この人しか分からない」情報が必要
医療安全上、直ちに確認しないと事故につながる
当直/オンコールの正規ルートでの連絡
✅ ルール:電話OK/短く/要点だけ/記録に残す
【黄】今日中(“電話以外”を優先)
例:
明日までに準備が必要な業務調整
シフト交代の打診(ただし緊急度による)
✅ ルール:院内の公式チャネル(安全な連絡手段)で/返信期限を明記
【青】出勤してから(原則、連絡しない)
例:
記録の書き方の確認
サマリーの体裁
申し送りで足りる内容
「ちょっと確認したいだけ」
✅ ルール:次回勤務で口頭orメモでOK(時間外に奪わない)
この「色分け」があるだけで、
電話する側の罪悪感も、受ける側の不安も減ります。
「病棟LINE」はアリ?ナシ?
LINEグループに患者情報を書くのは危険(個人情報・情報管理の観点でNGになりやすい)
でも「欠勤連絡」「シフト交代」「集合場所」みたいな患者情報を含まない連絡まで全部電話縛りだと、現場が壊れる
なので現実解は、
患者情報=院内の正規ツール(電子カルテ/院内チャット/掲示)
勤務調整=グループ連絡OK(ルール付き)
この“二階建て”が落とし所になりやすいです。
通話料・折り返し問題、地味に効くストレス
いま電話かけ放題じゃない人もいる
病棟番号に折り返すと、地味にコストが積み上がる
「私の私物(スマホ)で業務回してる感」がしんどい
ここは施設としては本来、
院内PHS/内線の整備
折り返し不要の運用(留守電+出勤時対応)
業務連絡の標準化(テンプレ化)
みたいな“仕組み投資”で解決する領域です。
管理職・中堅が作れる「時間外連絡ルール」ひな形
病棟カンファや委員会で、そのまま叩き台にできます。
電話していいのは「赤」だけ(定義を文章化)
青は“次回勤務で”が原則(例外条件も書く)
連絡手段の優先順位
院内ツール > 勤務連絡LINE > 個人への直電返信期待時間を明記
「今日中」「次回勤務」「緊急」当番制(師長/主任/リーダーの窓口)
“誰が連絡を受ける役か”を固定患者情報は原則、院外ツールに載せない
例外時の記録(誰が・何を・なぜ時間外に連絡したか)
この7つがあるだけで、現場のストレスはかなり変わります。
これは「サボり」じゃなくて、医療安全の話
「休みの日に電話に出ないなんて…」って空気、医療界にはまだ残ってる。
でも私は、こう言い直したい。
休む権利を守ることは、患者を守ることでもある。
つながらない権利は、“甘え”じゃなくて“安全設計”の一部。
違和感がある人が現場にいること自体が、チームの安全度を上げます。
関連記事(このnote内の動線)
あなたの現場の「時間外連絡」ルール、どうなってる?
ここ、病院によって文化が違いすぎて、答えが一つじゃないです。
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休みの日の電話、どれくらい来る?
LINEグループ運用、してる?ルールある?
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