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さよなら、サロマンチック・ブルー

長い3日間でした。

我がランナー夫、初ウルトラマラソンへの挑戦。
2泊3日、サロマ湖遠征旅行の軌跡。

と、本当なら、旅の行程なんかを先にまとめて、小話を後から出すのがセオリーというところでしょうか。

しかし今回は、気持ちの消費期限が近い思い出を先に…というか、もう、吐き出したい、聞いて欲しい。

今回の大会で…いや、旅行全体の中で、大きく印象に残ったこと、というか、気持ちが動いたことがありました。

ちょっと考えさせられることと言ってもいいかもせれません。

そして今回2500字です。

北見市街から札幌までの約310キロ運転中に考えてたらこんなんなってしまいました。

お時間ある時に読んでいただけたら幸いです。



いきなりですが、ゴールでのこと。

私ぜんぜん知らなかったんです。

応援している人が、ランナーと一緒に走ってゴールする風習?があるんですね。

私たちはゴールの20メートル手前付近で待機していました。
その時、小さいお子さんがパパランナーさんと一緒に、ワーッと走っていくのを見て、かわいいなぁ、ほほえましいなぁと思ったんです。

周りの沿道の応援の方たちも、一際大きい拍手で迎えていて、良い雰囲気だなぁと思っていました。

で、これが、続くんですね。
その後も、その後も、そんなかんじ。

つぎつぎとランナーさんたちが、小さいお子さんや、大きいお子さんや、仲間たちと一緒に、手を繋ぎ、腕を組んで、一緒にゴールゲートに向かっていました。
(もちろん、1人で闘いを全うされているランナーさんも沢山いらっしゃいましたが)

私、そういう光景を初めて見まして!

私が目撃してないだけかもしれませんが、フルマラソンでこういうシーンは、「よくある光景」では無いと思います。

たぶん、無くはないと思いますが、こうも頻繁には無いと思うんです。

(ていうか、正直、いいの?って…)

これは、ウルトラマラソンあるある?
それともサロマ湖ウルトラマラソンあるあるなの?


で、私、頭固いのは重々承知です。
完全に私の感想です。
批判を恐れずに言えば(いや批判は恐れてますですけど)

なんていうか、サプライズって続くと、サプライズじゃなくなってしまうんですよね。
特別があまりに多いと、特別じゃなくなるというか…

いやいや、もちろん、100キロ走ってくるっていうのは一人一人にとって特別なことですよ!!

支えてきた家族や仲間の苦労や葛藤は、時に走る本人に匹敵することだってあること、重々よく解っています。

(なんたって、その苦労を一身に背負うのに嫌気がさして、ランナー側に回ったのが私ですから)

そりゃあ最大の感謝をもって特別なことをしてほしい気持ちは解る。
してあげたい気持ちも尊いと思う。

でも、それを皆がやっちゃうと…

結局、皆がやって形骸化してしまうと、自分たちが面白くなくしちゃってるってことで、特別なことなのに勿体ないって思う。

義務っていうか、予定調和みたいになると、つまらないなって。

でも皆やりたいよね。
繰り返しますけど、100キロ、特別だもん。

どっからが客観的に特別で、どっからがそうじゃないのか、線引きできませんよね。
難しいことだと思います。


…っていう気持ちになっていたんですが…

ご安心ください。
ここからが本題です。

すごく印象的なシーンがありました。

私たち、そのゴール手前の地点でしばらく待っていたんですが、その時、私より一回りくらい年上と思われる女性が隣で物静かに応援していたんです。

しばらくして、その方が10メートルくらい向こうにいる走ってきた男性のランナーさんに手をあげて合図。

そしたら、そのランナーさんが近づいてきてスッ…と手を差し伸べて、応援していた女性はそれにスッ…と応えて手を重ね、あっと言う間に走り去って行ったんです…!

0.1秒のできごと。

ランナーさんのスピードが一切変わらないままの、0.1秒のシャルウィダンス?です!!

そう、例えるなら、

100キロ走ってきた王子が姫にダンスを申し込んでその勢いのまま掻っ攫っていった愛の逃避行!

また例えるなら、

スピードを維持したまま渡して受け取る心のバトンパス!

さらに例えるなら、

天空の城ラピュタにて、小型飛行機から逆さまにぶら下がったパズーが、炎に包まれた塔の上にいるシータを救出するシーン!
(わかりますか)

とにかく、私はその0.1秒間に、お二人のお互いへの【信頼】を見たのです。

なんて、ロマンチックなんだ!!

これはそう…

サロマンチック…!!


私にはサロマンスがありあまってキュンキュンだよ!!


で、思ったんです。


私もあれやりたい。


手のひら返し前言撤回!!
私もあれならやりたい!!
サロマンチックしたい!!

もし我が夫が…
「れいちゃん、一緒にゴールしよう」
って手を差し伸べてくれたら…

あと一万年、夫に恋できるのに。


でも、まぁ期待するだけ無駄ってもんです。
(安心してください。フリじゃないです)

何のリアクションも無いのもおかしいので、子ども達と相談して、あいだを取って(?)「ハイタッチ」することに落ち着きました。


そして、ついにやってきた夫!
寒かった!
長かった!
でもゴールできて本当によかった!!

予定通りハイタッチ!!

…すると、隣にいたおじさんが一言…

「なんも~!一緒にゴールすればいいのに~!」

その時、私は思いました。

それな!!!


でもね、これが私の夫なんです。

ロマンチックとは無縁の人。
でも夫は、真っすぐで、自分にも他人にも嘘をつきません。
決して奇をてらわない。

だから、私の夫は今日、ここまで走って来れたのだ!!



そうして夫は無事にゴールいたしました。

まぁ、言いますよね。

素敵なご夫婦が手を取り合って走っていったこと。
思春期真っ盛りの長男と超絶シャイな次男は嫌がっても、私はやってもいいと思っていたこと。
極めつけは隣のおじさんに「一緒に走ればよかったのに~」て言われたこと。

すると夫、こう言い放ちました。

「だったら言ってよ~そういうのあるって知らなかったから~」

いや、言えるか!
私にだって乙女のプライドがあるわ!
あの状況で「私をゴールに連れてって♡」言えるかー!

私「それじゃあ、いつか私も走った時に、あなたが先にゴールして沿道で応援しているのを、私が迎えに行くわ」

夫「いや、それなら一緒に走って、一緒にゴールしよう」

私「ってことは、約13時間、一緒に走って、ずっと一緒にいるってこと?」

私「ごめん、それは無理」


サロマンチックは、もう要らない。
私は、いつか、100キロ走った自分の足でゴールまで行く。

私の心のサロマ湖が、静かに凪いだのでした。


今回は以上です。
お付き合いいただきありがとうございました。


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