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スコーンと背徳感の話

スコーンが好きだ。

昔も今も、好きな食べ物ランキングで常に上位をキープしているぐらいに好きだ。

スコーンを食べるなら午後がいい。

家事を全部終えて、そのほかの用事も終えて、子どもたちのお迎えには少し早い時間。
夕飯のことを考えるには、まだ早い。

そういう、どこにも追い立てられていない午後がいい。

お気に入りのお店で買ったスコーンを、トースターでリベイクする。

スコーンのお供には、ロイヤルミルクティー。

そして、このスコーンを食べるためだけに用意したクロテッドクリームを冷蔵庫から取り出す。

クロテッドクリームがあるのとないのとでは、スコーンの幸福度は、たぶんまったく違う。

熱々のスコーンを二つに割る。

そこへ、少し躊躇するくらいたっぷりのクロテッドクリームをのせる。

ひんやりと冷たいクリームが、熱々のスコーンの上でほどけていく。

口の中は、もう至福の世界だ。

途中で季節のジャムを挟んでみる。

けれど、すぐにまたクロテッドクリームへ戻る。

あぁ。

なんという背徳感。

夢見心地のままスコーン2個を完食し、何気なくクロテッドクリームのパッケージに目をやる。

100グラム607kcal。

……ほう。

なるほどね。

そっとパッケージを冷蔵庫に戻す。

……全然大丈夫。
問題ない。
余裕。

だって、今日の私、頑張ったもの。

いつもより念入りに掃除もしたし、これくらいのカロリー、すぐ消費できるはずだ。

こんな幸福なおやつタイムに罪悪感を持つほうがどうかしている。

そんな軟弱な思想は、精神衛生上よろしくない。

YouTubeで「地獄の10分足パカ workout」を、とりあえず検索だけする。

見るだけで「やった気」になって満足し、静かにアプリを閉じる。

脂肪が燃焼される音が聞こえた気がした。

そのままの勢いで、筋トレ用のプレイリストまで作る。

テンションの上がる曲を集めて、「明日から本気出す用」として保存。

達成感だけは、先取りしておく。

ちなみに。

熱々スコーンとひんやりクロテッドの背徳感は、間違いなく明日への活力へと変換された。

チャージした607kcal分のエネルギーを胸に、今日も元気に娘たちを迎えに行くとしよう。

カロリーとは、つまり幸福の単位なのだ。

クロテッドクリームとスコーン分のカロリーをまとった私は、少しだけ無敵。

明日から本気を出す。

きっと。

……たぶん。

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