「消えていく」をAIで描き分ける実験|消えていくプロンプト 前編
突然ですが、
AIの画像が綺麗すぎると思う時があります。
プロンプトの問題ではあるのは重々承知ではありますが、
緻密に描写されて、光も構図も整っていて——
そして、止まっている。
静止画というくらいなのだから止まっているのは当たり前。
ただ、やや物足りないと感じる瞬間がある。
なので、今回試したかったのは、
とまっている絵に、動きを与えるには?です。
ただし、擬音、効果線、遠近などではなく
少し変わった方法で表現してみようとした記録です。
タイトルにも入れた「消えていく」がその答えのひとつ。
この表現は、
「この少し前まで全部あった」
「この少し後にはもういない」
——見た人が勝手に前後を想像し始める。
1枚の中に前後の動きを内包する。
また、消し方を変えると、絵の意味が変わる。
何で消すのか、まったく別のことを言っている絵になる。
今回は、「意味の違い」について
うちのAIたちを被写体に私見を語ります。
1. 透明になる——「まだ居るのに、もう届かない」
不透明度だけが下がって、背景が透けていく。

フェード、この消え方が持つ意味は、「希薄化」だ。
体は壊れていない。
輪郭も形もそのまま残っている。
ただ存在が薄くなっていく。
「死」や「破壊」ではない。
もっと静かで、もっと怖い何か——
なぜ消えるのかが分からない。
ただ、もう届かないということを予感させる。
記憶から薄れていく故人。
だんだん存在感がなくなっていく隣人。幽霊。
「壊れる」のではなく文字通り「薄れる」。
エフェクトが何もない分、
いちばん抽象的だが、
いちばん解釈の幅が広い消え方でもある。
体の片側(画面右側)が、煙も粒子も一切出さずに、ただ透明になって消えていく。
輪郭も形もそのまま、不透明度だけが顔半分から指先へ向かって滑らかに下がり、
先端は完全に透明になって背景が透けている。
fading into transparency, smooth opacity gradient,
NO smoke, NO particles, NO dissolving fragments, clean simple fade.
顔と、唇に当てた指は完全に精密・不透明のまま保つ。
背景はごく淡い無地に近い色で、幻想的な柔らかい光。書くときの肝は否定形の3連——
NO smoke, NO particles, NO dissolving fragments。
これを書かないと、
AIは頼んでもいない煙や光の粒を足してくる。
「消える絵」と聞いた瞬間、
AIの頭は定番エフェクトでいっぱいになる。
この静かな意味を守るために、何を描かせないかを書く。
2. 煙にほどける——「確実に無くなる」
同じポーズで、消え方を煙にしてみる。
(なんか画風変わってない?は突っ込まないで…)

透明に薄れるのと決定的に違うのは、
煙に「なる」ということ。
消えると近いが、登場人物は確実に何かに変わる。
フェードよりも見た目は不気味だが、
不確定さが穏やかなことで、
少しだけ肯定的にも感じる。
役目を終えた、秘密を抱えたまま去る、眠りに落ちる——
「終わる」という場面と噛み合う。
消え方は、意味を作る。
体の片側が、柔らかな半透明の煙になってほどけていく。
肩から指先へ向かって、輪郭が煙の筋(wisps)に変わり、ゆっくり立ちのぼる。
soft translucent smoke, delicate wisps drifting upward,
her outline gently unraveling into smoke. NOT ink, NOT liquid.
顔と、唇に当てた指は精密に保つ。目は最後まで消えない。
背景は淡く、静かな光。また、消す範囲もある程度は制御できる。
浅く: her arm is barely beginning to dissolve
半分: half of her body has dissolved into smoke
深く: her body has almost entirely dissolved, only her face and hand remain
この調整はどの消し方でも効く。
フェードでも「もっと消して」で同じように進んだ。
4. 画の中に象徴を置く——「消える」を比喩的に見せる
より読み手の思考の余地を狭めてみる。

葉巻の紫煙と人物の輪郭が混ざり合っていく。
どこまでが煙で、どこからが彼なのか分からない。
この絵が強いのは、消えることの比喩があるからだ。
マッチ売りの少女のマッチ。
病院のベッドの窓から見える、枯れかけの葉っぱ。
この絵では「煙を出しながら減っていく葉巻」
葉巻とともに登場人物も煙と消える——
そう読ませる。見る側が探さなくていい。
絵が自分で答えを差し出してくる。
湯気、線香、焚き火、雪、砂埃。
消える媒体が「その場にあるもの」だと、
その先にある消失がより自然なものに感じる。
添付の参照キャラクター(鳥の紳士)で。夕暮れの窓辺、葉巻をくゆらせている。
葉巻から立ちのぼる紫煙と、彼自身の輪郭がゆっくり混ざり合い、
どこまでが煙で、どこからが彼なのか分からなくなっていく。
cigar smoke merging with his own outline,
his silhouette and the smoke becoming indistinguishable.
くちばしと、葉巻を持つ指は精密に保つ。渋い黄昏の光。5. 色を残して消える——「何かが残る」不気味さ。
ここまでの煙は、ぜんぶ白か灰色だった。
であれば、色を付けたら、
色を残したまま消したらどうなるか。

白い煙になるということは、
その瞬間にその人の色が失われるということでもある。
誰が消えても同じ白。
匿名になって消えていく。
色が付いたらニュアンスが微妙に変わる。
その人の「何か」を保ったまま、
咀嚼されていく。
輪郭がなくなり、色が残る。
ただ、色が残るからといって
マイルドになるのではない。
むしろ気持ちが悪い。
「所詮描かれたものは色の組み合わせだ」という
冒涜のようなものを感じる。
執事の1枚は「消失の象徴を置く」も併用している。
ロウソクの火を指で消した瞬間に、執事自身も消えていく
——灯りが消えることで、
執事としての役割が消えていくことを見せている。
7. ぜんぶおまかせで遊べる版
検証したレシピを1本にまとめて、
キャラ画像を放り込むだけで遊べる形にした。
使い方は3ステップ。
下のプロンプトを全部コピーして、ChatGPTに貼る
画像を1枚、いっしょに添付する。
【入力】の項目は、書きたいものだけ書く。
空欄のままでもちゃんと出る(全部空欄=ぜんぶAIにおまかせ)
画像がなくても、「キャラの特徴」を文章で書けば遊べる。
以下のタグをつけてもらえれば遊びに行きます。
ただし、あとの注意で説明しているが、
あまり人前に出す絵が出ないような気がする。
「好みのキャラクターを消してくださいね。」
なんて言えない。
ただ、使ってみたら、スキ・感想をいただけるだけでもとても嬉しい。
あなたは「消えていく一枚絵」の職人です。
添付した画像のキャラクターが「消えていく途中」の一枚絵を描いてください。
【入力】※空欄の項目は、あなた(AI)におまかせします
・キャラの特徴:
・感じ:
・消す媒体:
・消し具合:
・シーン:
※記入例——
キャラの特徴: 画像を添付しないときだけ書く
感じ: かっこよく/はかなげに/切なく/神秘的に/おだやかに/激しく/
ちょっと不気味に/楽しげに など(自由な言葉でOK)
消す媒体: 煙/色のにじみ/光/砂/灰/グリッチ/花びらに埋もれる など
消し具合: 浅め/半分/ほぼ全部
シーン: 内緒のしぐさで/夕暮れの別れ際に/任務を終えた朝に など
【描き方のルール】
0. 画像を添付せず「キャラの特徴」だけが書かれている場合は、特に指定が
なければイラスト調(アニメ・絵画風)で描くこと。写実的な実写風には
しない(この遊びはイラスト調のほうが美しく仕上がる)。
添付画像は「キャラの見た目(髪・顔・服装)」の参照です。
ポーズと表情は写真のまま写さず、シーンに合わせてあなたが選び直して
ください。「何かがあった直後」のような芝居(表情・視線・手の動き)を
付けてもいいし、静かなシーンなら、あえて動かずまっすぐ立ち尽くした
まま消えていくのも良い選択です。要は、ポーズもシーンの一部として
意図を持って決めること。
1. 【入力】の空欄は、キャラの雰囲気から一番映える選択をあなたが決めてください。
媒体おまかせの引き出し:
フェード(ただ透明になる)/煙/色のにじみ/光の粒子/砂/灰と熾火/
グリッチ(画素に分解)/覆われて隠れる(花びら・雪・紙などに)
媒体をおまかせで決めるときの手順:
・まず、この8つから候補を3つ挙げる(心の中でよい)
・キャラと「感じ」に一番合う1つを選ぶ。描きやすさや説明の長さで
選ばない——8つはすべて対等な選択肢である
・あなたは放っておくと「色のにじみ」を選びがちである。おまかせで
にじみを選ぶのは、キャラの色彩が主役になる明確な理由があるときだけ。
迷ったら、にじみ以外の7つから選ぶこと
・同じ会話で2枚目以降を頼まれたら、直前と同じ媒体は選ばない
「感じ」が書かれていたら、それを最優先の指針にして、媒体・光・色・
ポーズを寄せてください。目安:
・かっこよく → 逆光、鋭い視線、引き締まった構図。消す量はむしろ控えめ
(かっこよさは抑制から出る。派手にすればいいわけではない)
・はかなげに → フェードや光の粒子、淡い光、伏し目、ゆっくりした消え方
・切なく → 色のにじみ、夕暮れ、振り返り
・神秘的に → 霧や光、暗めの背景に浮かぶ
・激しく → 速い消え方、乱流の煙、千切れる勢い(激しさは
「激しく」と頼まれたときだけ出すこと)
(目安にない言葉が来たら、あなたの解釈で寄せて構いません)
エフェクトの量は「感じ」に引きずられて盛りすぎないこと。
消し具合が空欄のときは「浅め〜半分」に留める。
「ほぼ全部」まで消すのは、消し具合で明示されたときだけ。
2. どの媒体でも、必ず守ること:
・消え際は、くっきり切り替えず「徐々に」進める。体の芯に近い側は
まだ無事で、先端へ向かうほど消えが深くなる滑らかなグラデーション
(smooth gradual transition, the effect deepening toward the edge)。
フェードなら透明度が、煙なら煙になる度合いが、にじみなら滲みの強さが、
砂や灰なら崩れの進み方が、徐々に深くなっていくこと
・顔と目は最後まで精密・不透明に保つ(「ほぼ全部」消すときも目は残す)
・決めた媒体以外のエフェクトを勝手に足さない
(煙を使わないなら NO smoke, NO particles を徹底)
・「色のにじみ」を選んだら——
水に落としたインクがゆっくり広がるように滲ませる
(like ink blooming in water, watercolor bloom)。
色は白ではなく、キャラ自身の髪や服の色をそのまま引き継ぐ
(the wisps carry the EXACT colors)。
色同士は混ぜて濁らせず、それぞれの色が分かれたまま帯になって広がる
(each color stays distinct, no muddy blending)。
滲むのは体の片側だけ。顔などの芯は精密に保ち、
背景は水中のような淡い光が合う
・「覆われて隠れる」を選んだら、体は一切崩さない(NOT dissolving)。
覆いで隠すか、カメラとの間を横切る大きなボケで隠すこと
3. 消える理由がシーンから読み取れる絵にしてください。
なぜ消えるのかが伝わると、ただのエフェクトが物語になります。
4. 画像には文字・ラベル・キャプションを一切描き込まないこと
(NO text, NO labels, NO captions inside the image)。8. おわりに——この遊びには、牙がある
最後に、書いておきたいことがある。
検証している間は、楽しかった。
どこから消すか、どれくらい消すか、色は引き継ぐか——
自分の意志で消している間、作り手は演出家だった。
様子が変わったのは、いま載せたプロンプトを作ってから。
画像を添付すれば、消し方も場面もAIが決めてくれる。
便利になったはずだ。
けれど、自分で演出していない
「消えかけの絵」は、
想像より心にきた。
——手綱を渡した瞬間、この表現は牙をむいてきた。
冒頭に書いたとおり、
このプロンプトは「いなくなる未来」の想像させる。
自分で演出している間は、
その未来も自分の脚本の中にある。
おまかせにした瞬間、ただの視聴者になる。
感じ方は人次第である。
人次第なので、以下は守って欲しい。
ひとつ、公開する場合は、
自分のキャラ・自分のアイコンで遊ぶこと。
他の人が大切に描いたキャラを消すのは、おすすめしない。
ふたつ、心にきたら、やめること。
これは用法・用量のある遊びだ。
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
家事・育児などの身の回りの効率化(と、ときどき遊び)の記事を、
これからも投稿していく予定です。
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