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【CoCシナリオ公開】1時間で回せる短編タイマンシナリオ『共犯者の温室、あるいは神の吐き捨てた捏造愛』【TRPG】

おはようございます、早坂いのるです。
今回のテーマは、逃げ場のない共依存を具現化した**「二人だけの永久欠番(デッドエンド)」**です。


『共犯者の温室、あるいは神の吐き捨てた捏造愛』

「嬉しいね。君がこれまで積み上げてきたその物語(経験値)さえ、僕(私)にとっては二人を繋ぎ止めるための『鎖』なんだ。……たとえこの絆が、誰の共感も得られない、独りよがりの妄想だったとしても。」

■シナリオ概要

  • システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)

  • 形式: KPCとのタイマン

  • 推定時間: 1時間

  • 推奨技能: 〈目星〉〈心理学〉〈図書館〉〈精神分析(あるいは自虐)〉

  • 舞台: クローズド(二人の過去の「良いシーン」だけがコラージュされた、窓のない密室)

  • テーマ: キャラクター私物化、共依存、関係性のメタフィクション

■あらすじ

目覚めると、そこは二人の「最高にエモい瞬間」だけが壁一面に飾られた、吐き気のするほど甘美な密室だった。KPCの身体には、PCとの関係性を定義する「タグ」が皮膚を突き破って縫い付けられている。ここは**「ニャルラトホテプ」**が、二人のエゴ(うちよそ)を煮詰めて作った、観賞用の鳥籠。KPCは、PCが望む通りの「理想のパートナー」として固定され、自我を塗り潰されようとしている。二人は自分たちの「醜い本音」をさらけ出し、この心地よい地獄を自ら壊して脱出しなければならない。

■ハンドアウト(HO)

  • PC:『関係性の加害者』 君はKPCを「自分の思い通り」に解釈し、定義する権利(エゴ)を持っている。

  • KPC:『解釈の被害者』 君はPCの望む姿であり続けなければならない。エゴを受け入れるほど、君の「個」は消え、ただの「記号」へと変わっていく。


■五章構成:独立したエゴの解体

第一章:タグ付けされた魂

ピンク色の霧が立ち込める部屋。KPCは自分の腕に縫い付けられた「#運命の二人」というタグを引きちぎろうとしながら、「僕(私)たち、最初からお互いを消費し合うための『記号』だったんだね」と、恍惚とした表情で囁く。

  • 描写: KPCに触れると、その瞬間に二人の「エモい過去」が強制再生され、脳内に多幸感という名の毒が流し込まれる。

  • 判定: 〈目星〉あるいは〈心理学〉。KPCの言葉が、自身の意志ではなくPCが深層心理で望んでいる「理想の台詞」を喋らされていることに気づく(SAN 1/1D6)。

第二章:キャラシの私物化

周囲に浮かぶ「二人の思い出(技能やバックストーリー)」を、相手のキャラシに「移植」する作業。

  • アクション: 〈図書館〉あるいは〈精神分析〉。相手の「得意技能」を自分のものに書き換えることで、物理的に「二人で一つ」の状態を作り出す。

  • 結果: 成功すれば一時的に無敵感を得る。失敗すれば、PCのバックストーリーが一つ「共通の思い出」へと捏造され、元々の個人的な記憶が物理的に「消去」される。

第三章:脚注(フットノート)の同担拒否

密室のモニターに、二人の関係を「尊い」と消費する「観客(神々)」のコメントが流れる。そこには「この二人はこうあるべきだ」という、外側からの勝手な解釈が並んでいる。

  • ロールプレイ: 観客(神)が望む「美しい関係」を全否定し、自分たちの関係がいかに独りよがりで、醜く、救いようのないエゴに満ちているかを叫ぶ。

  • 判定: 〈精神分析〉あるいは〈任意の交渉技能〉。

第四章:確率の心中

出口の扉を塞ぐのは、二人の身体を貫き、一つに縫い合わせようとする巨大な「赤い糸」。それはPCの「POW」や「APP」を削り、自分と相手の境界線を完全に消滅させようとする。

  • ギミック: PCは「最大正気度」を5削ることで、その糸を自ら切り裂き、あえて「他人」として独立した個体に戻る苦痛を選ぶことができる。

  • 判定: 糸の束を潜り抜ける〈DEX〉あるいは〈幸運〉。

第五章:決断・最後の自立

出口となる「孤独な扉」。脱出するには、PCのキャラシにある「KPCに関連する最も大切なバックストーリー」を、関係性を断ち切るための「代償」として永久に削除しなければならない。

  • 真相: 二人を繋ぐ「最強の絆(エゴ)」を捨てなければ、この閉じた世界から出ることはできない。

  • クライマックス: 1D100の最終ロール。扉の向こう側に、二人は「他人」として手を伸ばせるか。


■結末:分岐する 3 つのエンディング

  • Happy End:『さよなら、僕(私)の所有物』 (絆の一部を代償に生還。現実に戻った二人の間には、以前のような盲目的な熱はない。互いを「個」として認め、新しく冷ややかな、だが確かな関係を築き始める。)

  • Normal End:『檻の中のハッピーエンド』 (生還するが、KPCはPCの顔色を伺うだけの「人形」のような性格に変質してしまう。PCは罪悪感を抱えながらも、それを「愛」と呼び変えて生きていく。)

  • Bad End:『永遠の永久欠番(デッドエンド)』 (脱出失敗。二人は完全に溶け合い、一つの肉塊となって展示される。次に誰かがこの部屋を覗いたとき、そこには「世界で最も純粋で、最も気持ち悪い愛」が標本となっているだけである。)


■ストーリーに関するあとがき

今回は「うちよそ」という文化が内包する、キャラクターへの支配欲や解釈の押し付けという**「醜いエゴ」**をメタホラーに昇華しました。大切な設定や絆を「削除」しなければ脱出できないという構成を通じ、キャラクターを愛でることの残酷さを突きつける 1 時間です。

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