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【CoCシナリオ公開】1時間で回せる短編タイマンシナリオ『ドロドロ・メルティ・アラモード』【TRPG】

おはようございます、早坂いのるです。
今回のテーマは、甘美な誘惑に負けると存在が溶けてしまう**「シュガー・ディストピア」**です。


『ドロドロ・メルティ・アラモード』

「食べて。君がこれまで積み上げてきたその物語(経験値)さえ、僕(私)にとっては甘い香りの『シロップ』なんだ。……たとえこの一匙が、誰の口にも届かない、毒入りのデザートだったとしても。」

■シナリオ概要

  • システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)

  • 形式: KPCとのタイマン

  • 推定時間: 1時間

  • 推奨技能: 〈目星〉〈聞き耳〉〈製作(料理または芸術)〉〈精神分析〉

  • 舞台: クローズド(全てがお菓子でできた、巨大なパフェの器の中)

  • テーマ: 誘惑、融解、スイーツ・メタフィクション

■あらすじ

気がつくと、世界は甘い香りとパステルカラーのクリームに満たされていた。KPCの身体からはチョコレートのソースが滴り、その指先はキャンディのように透き通っている。ここは**「シャッガイからの昆虫」**が、探索者の記憶を「蜜」として啜るための巨大な養蜂場(スイーツパラダイス)。KPCは、PCの「思い出」を甘味として消費されることで、自我を失った「お菓子の人形」に変えられようとしている。二人は自分たちの「芯(苦味)」を失う前に、この溶けゆく甘い地獄から脱出しなければならない。

■ハンドアウト(HO)

  • PC:『味見する観客』 君はこの世界の「毒」を見抜く舌を持っている。

  • KPC:『溶けゆくデザート』 君はこの世界の「メインディッシュ」だ。体温が上がる(感情が昂る)ほど、君の身体は甘く溶け、形を失っていく。


■五章構成:独立した甘美な解体

第一章:ホイップの檻

一面のクリーム。KPCは自分の溶け出した足元を見つめ、「僕(私)たち、最初から誰かに美味しく食べられるだけの『おやつ』だったんだね」と、とろけるような甘い声で囁く。

  • 描写: KPCに触れると、指先がキャラメルのように癒着し、彼の体温が異常に高く、甘い香りが脳を麻痺させることに気づく。

  • 判定: 〈目星〉あるいは〈聞き耳〉。KPCの心臓の鼓動が、炭酸が弾けるようなシュワシュワとした音に置き換わっていることに気づく(SAN 0/1D4)。

第二章:キャラシのトッピング

周囲に浮遊する「色鮮やかなトッピング(技能やバックストーリー)」を、相手の身体にデコレーションする作業。

  • アクション: 〈製作(料理など)〉あるいは〈図書館〉。床に散らばった「大切な人の名前」や「得意技能」をトッピングとして拾い、KPCの溶けかけた部位に「直接貼り付ける」。

  • 結果: 成功すればKPCの輪郭が固まる。失敗すれば、PCのバックストーリーが一つ「粉砂糖」として振りかけられ、物理的にその記憶が「甘いだけの虚無」に変換されて消滅する。

第三章:脚注(フットノート)のお品書き

空間の壁に、二人の「栄養成分表」が貼られている。そこには「このキャラクターは甘すぎて飽きられたため、本日中に廃棄(完食)する」という残酷なオーダーが。

  • ロールプレイ: 完璧な甘さを拒絶し、自分たちの物語がいかに苦く、不格好で、食えたものではないかを叫ぶ。

  • 判定: 〈精神分析〉あるいは〈任意の交渉技能〉。

第四章:確率のフォーク

出口の扉を阻むのは、空から突き立てられる巨大な「銀のフォーク」。それはPCの「POW」や「DEX」を狙い、二人を一口サイズに「切り分ける」ために襲いかかる。

  • ギミック: PCは「最大正気度」を5削ることで、自分の身体を一時的に「熱いコーヒー」のように変え、フォークを弾き飛ばすことができる。

  • 判定: 降り注ぐ銀の刃を潜り抜ける〈DEX〉あるいは〈幸運〉。

第五章:決断・最後の隠し味

出口となる「巨大なオーブン」。脱出するには、PCのキャラシにある「最も高い技能」か「最も大切なバックストーリー」の一つを、扉を焼き切るための「火種(代償)」として永久に投じなければならない。

  • 真相: 自分の一部を「スパイス」として置いていかなければ、この甘ったるい密室の蓋を開けることはできない。

  • クライマックス: 1D100の最終ロール。溶け落ちる世界の中で、二人はどんな「苦い真実」を口にするのか。


■結末:分岐する3つのエンディング

  • Happy End:『ビターな朝食』 (自分の一部を代償に生還。現実に戻った二人の口の中には、ひどく苦い薬のような後味が残っている。甘い夢は終わり、不揃いな日常がまた始まる。)

  • Normal End:『シュガー・ハイの余韻』 (生還するが、KPCの肌は時折、砂糖細工のように脆くなる。時々、甘い香りがすると激しい目眩に襲われるが、それでも寄り添い合う日常。)

  • Bad End:『御馳走様でした』 (脱出失敗。二人は完全に溶け合い、一つの巨大なケーキとして完成される。次に誰かがこの部屋を覗いたとき、そこには幸せそうにデコレーションされた、動かない二体の砂糖菓子があるだけである。)


■ストーリーに関するあとがき

今回は「スイーツ」というキャッチーなモチーフを、TRPGらしい「欠損と代償」のホラーに落とし込みました。1時間という短時間で、可愛らしい世界観がドロドロに崩壊していくカタルシスを味わえる構成です。

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