【CoCシナリオ公開】3時間で回せるタイマンシナリオ『白紙の檻に降る、色彩の死体』【TRPG】
おはようございます、早坂いのるです。
今回のテーマは、真っ白な空間で自分たちが「消費されるコンテンツ」であることを自覚し、抗う**「物語の廃棄場」**です。
『白紙の檻に降る、色彩の死体』
「答えて。君がこれまで積み上げてきたその物語(経験値)さえ、僕(私)にとってはただの再利用される『素材』なんだ。……たとえこの一瞬が、誰のアーカイブにも残らない、読み捨てられたゴミだったとしても。」
■シナリオ概要
システム: 新クトゥルフ神話TRPG(第7版)
形式: KPCとのタイマン
推定時間: 3時間(ロールプレイ重視)
推奨技能: 〈目星〉〈図書館〉〈心理学〉〈精神分析〉〈芸術/製作(PCの趣味)〉
舞台: クローズド(果てのない白。浮遊する無数の未完成な原稿)
テーマ: 存在の消費、自己の確立、メタ・クトゥルフ
■あらすじ
日常の喧騒が消え、君たちは「上下左右の概念がない白い部屋」にいた。そこはアザトースの微睡みから零れ落ちた「ボツ原稿」が漂う物語の墓場。KPCの身体はインクが剥げ落ちるように白く透け、その瞳には「自分が死ぬはずだった別ルート」の光景が映し出されている。 二人は自分たちの「一貫性」を証明し、神(作者)が投げ出した未完の結末を自ら書き換えて、現実へと回帰しなければならない。
■ハンドアウト(HO)
PC:『執筆する読者』 君はこの空白に「因果」を刻む権利を持っている。
KPC:『推敲される登場人物』 君はこの世界の「変動」に浸食されている。感情が揺らぐほど、君の設定は不安定になり、存在が多重化していく。
■五章構成:重厚な対話と欠落のクロニクル
第一章:未定義の目覚め
音も匂いもない、純白の空間。KPCは自分の透けていく手を見つめ、「僕(私)たち、最初から誰かの気まぐれで描かれた『落書き』だったんだね」と、絶望すらも定型文のような声で呟く。
描写: 空間には、二人の「過去の思い出」が物理的なオブジェクトとして転がっている。触れるたびに、当時の感情がノイズとして流入する。
判定: 〈心理学〉。自分たちの存在が、特定の「設定」に依存している危うさを知る(SAN 1/1D6)。
第二章:キャラシの解体と再編
周囲に浮かぶ「色のついたインク(技能やステータス)」を回収し、KPCの輪郭を維持する作業。
アクション: 〈図書館〉あるいは〈製作〉。白の中に隠された「本来の自分たちの言葉」を探し出し、KPCの心臓部に直接「上書き」する。
結果: 成功すればKPCが正気を取り戻す。失敗すれば、PCの記憶が一つ「白紙」に吸収され、物理的にその記憶が「誰のものでもない無機質なデータ」に置き換わる。
第三章:脚注(フットノート)の残酷な告白
白い壁に、二人の物語に対する「残酷な評価」が自動筆記される。「この関係はテンプレートだ」「このキャラクターには魅力がない」という外側からの無慈悲な視点。
ロールプレイ: 押し付けられた評価を撥ね退け、自分たちだけが知っている「行間に隠された真実」をKPCと語り合う。
判定: 〈精神分析〉。KPCが自己否定に陥るのを食い止め、個としてのアイデンティティを確立させる。
第四章:確率の暴風雨
出口の扉を阻むのは、空から降り注ぐ巨大な「消去の光(イレース)」。それは1ラウンドごとに、PCの「任意のステータス」を1D10ポイントずつランダムに削り取り、存在を希薄化させようとする。
ギミック: PCは「最大正気度」を5削るごとに、そのラウンドの消去を完全に無効化する「絶対的な自己」を確立できる。
判定: 削り取られる恐怖に耐えながら、光の奔流を突き進む〈CON〉あるいは〈幸運〉。
第五章:決断・最後のサイン
出口となる「巨大な白紙の扉」。脱出するには、PCのキャラシにある「最も高い技能」か「最も大切なバックストーリー」の一つを、世界を「現実」として定着させるための「重り」として永久に失わなければならない。
真相: 完璧なままで現実に帰ることはできない。何かを「白」の中に置いていかなければ、この重力のない世界から抜け出すことはできない。
クライマックス: 1D100の最終ロール。何も見えない白光の中で、二人はどんな「最後の一言」で物語を締めくくるのか。
■結末:分岐する3つのエンディング
Happy End:『未完の叙事詩』 (自分の一部を代償に生還。現実に戻った二人の手元には、もう何も書かれていない真っ白なノート。欠落を抱えながらも、二人は「設定外」の自由な未来を歩き始める。)
Normal End:『書きかけのエピローグ』 (生還するが、二人の関係性にまつわる記憶が一部「白濁」し、思い出せなくなる。時折、KPCが「知らない誰か」に見える瞬間があるが、それでも手を握り直す日々。)
Bad End:『白紙委任(ロスト)』 (脱出失敗。二人は完全に背景と同化し、真っ白な紙の上の「一点のシミ」となる。次に誰かがこのページを開いたとき、そこには「かつて誰かがいた」ことさえ分からない無垢な白があるだけである。)
■ストーリーに関するあとがき
何も存在しない白一色の世界で、キャラクターが「自分とは何者か」という根源的な問いに直面する物語です。誰かに書かれた台詞ではない、自分たちの内側から溢れる言葉こそが、無慈悲な空白を切り裂く唯一の武器となります。最後に捧げる代償は、かつて二人を定義していた過去との決別であり、それこそが新しい「生」の始まりを意味しています。
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