「消費税を下げれば、みんな助かる」は本当か―“免税事業者”の現実
1.はじめに
「消費税を下げれば、みんな助かるはず」
そう思う人は多いと思います。
実際、食品の消費税減税は「家計支援」として語られることが多く、消費者目線では歓迎されやすい政策です。
特に物価高が続く中では、
・食費負担が軽くなる
・子育て世帯の支出を抑えられる
・低所得層ほど恩恵が大きい
といったメリットも期待されています。
一方で、減税による税収減は数兆円規模になるとも言われており、財源問題や、外食(10%)と食品(0%)の税率差拡大による需要シフトなど、副作用も議論されています。
そんな中、先日テレビ番組でシラス漁業関係者が
「食品の消費税が下がると、うちは売上が減る」
と話しているのを見て、「え? 消費税って預かり金じゃないの?」と疑問を持ちました。
今回は、この“違和感”の正体を、「免税事業者」という仕組みから整理してみます。
2.消費税は本来「預かり金」
まず大前提として、普通の会社にとって消費税は「利益」ではありません。
たとえば、100円の商品を売る場合。
* 本体価格:100円
* 消費税:8円
* お客さんの支払い:108円
この8円は、会社が後で国に納める「預かり金」です。
つまり、本来は会社の儲けではありません。

3.でも、小規模事業者には「免税」という特別ルールがある
ここが重要です。
売上規模が小さい事業者(年間売上1,000万円以下など)は、「免税事業者」として消費税を納めなくていいケースがあります。
そして、実は一次産業ではこの割合がかなり高い。
JA全中や全漁連などの資料では、農家・漁業者の約85%が免税事業者だと言われています。
つまり、食品減税の影響を直接受ける人が、現場には非常に多いということです。
漁師さんや農家さんには、この仕組みを使っている人が少なくありません。
つまり、
・108円受け取っても
・8円を国に納めなくていい
という状態です。
この8円は、実質的には手元に残ります。これを『益税』と呼ぶ場合があります。
もちろん、それをそのまま利益として自由に使っているわけではなく、
・船の燃料
・漁具
・氷
・ガソリン代
など、仕入れ時に支払った消費税を控除・還付できないため、売上税相当分がその穴埋めになっています。

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