それは人生の攻略本?アガスティアの葉を開いてみた
「アガスティアの葉って知ってる?」
そう教えてくれたのは
第一話で登場したあの魔法使いだった
波動水のときもそうだったけれど、
不思議なことに、この人が紹介してくれるものはいつも少しだけ私の常識を飛び越えてくる
世間話のついでのような、あまりにも軽い口調で
とんでもなく大きなものを差し出してくる
そのギャップに、私はいつも巻き込まれてしまうのだ
インドには、自分の人生が書かれた葉があるらしい
しかも誰にでもあるわけではなく、
何千年も前に聖者アガスティアが瞑想の中で
未来を見て書き記したものだという
書かれているのは、
その人の性格、才能、過去世、カルマ、そして人生の使命まで
世界中の誰かの葉が
遥か昔からずっと読まれる日を待って眠っている
そう聞かされて頭では到底理解できないの
になぜか胸のどこかがざわついた。
正直、スケールが大きすぎる
何千年前の聖者が、まだ生まれてもいない人の人生を見通していたなんて
そんなことある?にわかには信じられない
それなのに、不思議と怪しいとは思わなかった
むしろ、日常の中でこんなにも大きなスケールの話に出会えたことが、単純に楽しかった
思ったのはたった一つ
私も開いてみたい
申し込んでから、約四か月
思っていたよりずっと長かった
専門の窓口に指紋の情報を送り
それを頼りに、膨大な葉の中から私の葉を探し出してもらう作業が進められているのだという
想像するだけで気が遠くなる
インドのどこかの部屋に積まれた
無数の椰子の葉
その中から、たった一枚を探すなんて
待っている間
私の葉はあるのかな
見つからなかったら、それはそれでどういう意味になるんだろう
仕事の合間、電車の中、寝る前のふとした瞬間に、その問いが浮かんでは消えていった
期待しすぎないようにしよう
と自分に言い聞かせながらも、
心のどこかでは、指折り数えて待っている自分がいた
そして、ようやくその日がやってきた
インドまでは行けないのでオンライン
便利な世の中になったもんだ
緊張しているのか、それとも浮き足立っているのか、自分でもよく分からないままその時を迎えた
まずヤシの葉の束の中から私の葉をみつける作業
指紋を送るだけでは葉の特定はできないらしい
いくつか質問を受けて葉を特定していくのだけど
最初は取り止めもない質問が
だんだん詳細になっていき、最後には親の名前まで確認された
しかも、こちらが伝えるのではなく
「あなたの母親の名前は◯◯ですか?」
と確認されるスタイル
この時点でアガスティアのすごさにびっくり
無事に葉が見つかり、まず教えてもらったのは
未来でも、前世でもなく、私の指紋の名前だった
指紋に名前ってあるんだ
「あなたの指紋の名前は」
そこから、一つひとつ意味を説明してくれる
真珠、鐘、花、ほら貝
どれも初めて聞く話だった
指紋の渦の形によって、その人がどんな資質を持って生まれてきたのかが分かるのだという
メモを取りながら聞いていたつもりだったのに
その説明を聞いている途中で
もう内容が頭に入らなくなった
ピシャーン
雷に打たれたような感覚だった
これ、私がずっとやりたいと思ってたことだ
当てはまりすぎるくらい当たってる
真珠は、自分を磨き輝くこと
鐘は、人の心を目覚めさせること
花は、自分が咲くことで周りにも喜びを届けること
ほら貝は、自分が経験したことを多くの人へ伝えること
ひとつひとつの意味を聞くたびに
頭の中で何かがカチリとはまっていく音がしたそして、告げられた
「あなたの人生の使命は、自分が経験したことを人に伝えることです。見えない世界を現実でどう生かしたかを伝えることです。」
もう、
開いた口が塞がらなくて顎が外れるかと思った
だってそれ、全部、私がやりたいこと!
その気持ちに気付いた時、周りにいた人とその関係の人に言えるようにはなってきたものの
家族の前でも、会社の人の前でも友達にだって
そんなことを口にしたことは一度もなかった
でも、ずっと前から心の奥底では
本を書きたい
誰かの人生が少しでも軽くなる文章を書きたい
と思って生きてきた
それを初対面の人が
何千年も前に書かれたという葉を読みながら
当たり前のように口にしている
しかも、向いている、なんなら使命だとすら言われた
偶然にしては、あまりにも出来すぎていた
そこから先は、さらに驚きの連続だった
「幼い頃、周りに馴染みにくかったでしょう。つい何年か前まで生きづらかったでしょ、繊細ですね。人の空気を読みすぎますね。見えない世界に興味がありますね。でも、どこか怖さもありますね。負けず嫌いで勝ち負けにこだわる、ここは短所だから勝ち負けよりも楽しいことを基準にしましょうね」
はい、はい、はい、返事はそれしかなかった
首がもげる本当に
「そうです」でしかない
学生時代、みんなと馴染めなかった
それでも周りに合わせようとして疲れてしまった
大人になっても、みんなと同じになれている気がしなくて、でも同じにしないと浮くと思って相当無理をしていた
目に見えない世界には惹かれるのに、変な人って思われたくないという気持ちがずっとあった
占いや不思議な話が好きなのに、それを職場では絶対に口にしなかった
誰にも話していないような感覚まで、次々と言葉になっていく
それはまるで
自分でも気づかないうちに鍵をかけていた箱を
次々と開けられていくような時間で
開けられるたびに
あ、これも知ってたんだ
と驚きながらも
どこかでほっとしている自分がいた
長年、誰にも見せずに仕舞い込んでいたものを
初めて誰かにわかってもらえて認めてもらえた
そんな安堵感
その後はその私の本来の力を邪魔してくる過去性やカルマについても聞いた
うーん、なかなかだな、これ
もちろん、全部を鵜呑みにしたわけじゃない
私は昔から、信じる前に試したい人間だ
占い師の言葉も、スピリチュアルな話も
まずは疑ってかかる
統計的に当てはまりやすい表現なんじゃないか
誰にでも刺さるように作られた言葉なんじゃないか
そんな冷静な自分は、今もちゃんと私の中にいる
だから、本当にそうなのかなという気持ちは
今もある
でも、一つだけ確信したことがあった
私は、本を書きたいんじゃない
本を書くことが、私の人生そのものなんだ
それは夢というより
もっと静かで、もっと深い感覚
夢というのは
これから叶えるもの、努力して手に入れるものだと思っていた
でもこれは違う
ずっと前から、すでに私の中にあったものを
ただ思い出しただけのような感覚
ああ、だから私は書いてしまうのか
そんな納得だった
実は、第一話で書いた波動水の話とも
ここでつながった
理想を邪魔しているものを外していく
あの話を聞いた瞬間、私は思わず心の中で叫んでいた
あっ、アガスティアの葉だ!
あの日聞いた
使命、カルマ、直感、経験を書くこと
全部が一本の線になった
波動水が外そうとしていた邪魔なものの正体は
もしかしたら
この本を書きたいのに書けない自分を
長年ずっと縛り続けてきた
見えないブレーキだったんじゃないか
それは、カルマと言われたり過去性と言われたりするもので
アガスティアで聞いた本来の私の力を邪魔してくるものを外してくれるなんて!
すごくありがたい!!
もし、人生に攻略本があるとしたら
きっと答えは一つじゃない
アガスティアの葉という地図もある
波動水という道具もある
ノートという相棒もある
登り方は違う
使う道具も、頼る相手も違う
でも目指している山は、同じなのだ
私はごく普通の会社員で、これからも毎朝起きて、会社へ行き、仕事をして、家に帰る日々を続けていくのだろう
でも、その日常の延長線上に、本を書くという使命が静かに横たわっているのだとしたら
それは、遠い未来のいつかの話ではなく、今この瞬間から、少しずつ準備していけることなのだ
だから私は、これからも助手として歩いてみようと思う
本当に人生は変わるのか
見えない世界の教えは、現実で役に立つのか
答えは、誰かから聞くものじゃない
私自身が、自分の人生で確かめていく
経過は、また報告します
