削られていった3年間 ── いちばん怖い変化🔥5
高校3年間。
殴られたわけでもない。
怒鳴られ続けたわけでもない。
それでも私は、
確実に削られていった。
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朝、目が覚めた瞬間から、体は重い。
まだ布団の中なのに、胸の奥がざわついてい
今日は、何も起きませんように。
階下から物音がすると、
心臓がどくんと跳ねる。
父がいるのか、いないのか。
それだけで、一日の質が決まる。
いないと分かると、
肺の奥まで空気が入る。
それだけで、体の軽さがまるで違う。
家の中で、私は常に緊張していた。
肩はいつも上がり気味で、
奥歯を無意識に噛みしめている。
気づくと顎が痛い。
こめかみがずきずきする。
夜になると、背中が板のように固まっている。
足音。
咳払い。
テレビの音量。
すべてが、警報だった。
やがて、その状態が普通になった。
苦しいのが当たり前になった。
学校にいるときでさえ、
ふとした大きな物音に、
体がびくりと跳ねる。
友達に肩を叩かれると、
一瞬、本気で身構えてしまう。
自分でも驚くほど、反応が速い。
心臓が跳ね上がり、
血の気が引く。
誰に対しても、恐怖を感じる。
この人は、私の敵なのか、味方なのか。
信じるってなんなのか、
もう分からなくなっていた。
人が、恐ろしい。
それは怒鳴り声がなくても、
直接の攻撃がなくても、
止まらなかった。
父は、時々何事もない顔をしていた。
妹と笑い、
テレビを見て、
普通に会話をする。
その横で、私は硬直している。
この空気が、いつ変わるか分からない。
さっきまで穏やかだったのに、
私が通っただけで、
舌打ちひとつで、
世界がひっくり返ることを、体が知っている。
毎日、同じことの繰り返し。
緊張。
回避。
警戒。
なぜ私は、こんなにも嫌われているのだろう。
人では、ないからかな。
私は、問題のある人間なのだろう。
私は、邪魔な存在なんだ。
どんなに考えても、自分を納得させるには、
それしか思いつかなかった。
歯車が狂うように、ひずみが出始める。
学校も、家も、何もかも。
ああ、やっぱりね。
その言葉はとても便利だった。
私が悪いから、変なやつだから。
だからだ。
私を見る人の目。
家族の態度。
父の目、音。
辻褄がぴったり合った。
――
3年間。
静かな圧力は、
確実に私を削った。
少しずつ。
目に見えない速度で。
木が、長い年月をかけて削られていくように。
気づいたときには、
芯の部分まで、細くなっていた。
私は、笑うのが下手になった。
大きな声を出すのが怖くなった。
自分の意見を言うのが難しくなった。
父に直接殴られたわけじゃない。
でも、私の精神は、確かに打たれ続けていた。
それは、跡が残らない。
誰にも見えない。
けれど、確実に内側を傷つける。
私は、家の中で、
毎日見えない拳を受け続けていた。
無意識の中で、私は考えることも、
感じることもやめた。
苦しいとか、辛いとか考えたら、終わる。
私はそれが良いことだと信じていた。
けれど、本当はいちばん怖い変化だった。
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🫧この形の私

