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恐怖の教室に差し込んだ、奇妙な静けさ 🔥2


誰かに助けてもらったわけじゃない。
だけど、あの日、教室の空気が急に変わった――。

────

小学4年の終わり。

3月なのに、うっすら雪が積もった日のこと。

私は、いつものように、一人で席に座っていた。

下を向き、体の一部さえも動かせず、
空気に溶け込むように座った。

呼吸の音すら怖くて、意識を消した。


そこへ、誰かが近づいてきた。

青い上履き。

……男子だ。

ざわっ

全身の皮膚が泡立つ感覚。
ドクン、と心臓が飛び跳ねる。

バン!

大きな音がして、私の机の上に手が置かれた。
「おはよう」

声が落ちてきた。
目だけが勝手に動く。
息が詰まる。
逃げ場を探すみたいに、視線が泳ぐ。

恐る恐る見上げると、そこには普段私を殴ってくる体の大きい男の子が立っていた。

声が出せない。
どうしたらいいかも、分からない。

私が固まっていると、
周りの男の子たちも次々に声をかけてきた。

「おはよう」
「みのり、おはよう」

頭が追いつかない。
私はただ座ったまま、動けなかった。

最初に声をかけた男の子が、肘をつき顔を近づける。
「これから俺たち、友達だよね」
意味が分からなかった。

「うん」

それだけ何とか絞り出した。

それを境に、いじめは嘘のように止まった。

廊下を普通に歩ける。
教室で座っても蹴られない。
誰も笑わない。触れても「汚い」と言われない。

全部、信じられないほど嬉しいのに、目の奥では恐怖がざわつく。
いつ、また戻るんだろう。
体が覚えた痛みは、簡単には消えない。

誰かとすれ違う度に、平気な顔で笑っても、
背中の奥で小さな針がチクチクと痛む。
心はまだ、あの日の緊張を引きずったままだった。

3ヶ月。

半年。

平穏な日々が続くと、
少しずつあの日の光景は小さくなる。

しかし、心臓の奥にあった黒い光は完全には消えず、
階段の音や教室の声に、
ふとした瞬間に小さな恐怖として戻ってきた。

そんな重りを抱えたまま、
私は5年生になった。

大人になった今も、あの日の黒い光は、
小さく私の中に残っている。

普段の私は、人と話し、
自然に笑っているように見える。

けれども、何かの拍子に、
その黒い影は輪郭を現し
背中から静かに私を飲み込むのだ。

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🫧この形の私

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