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お願いしたのに、違うものが届いた─赤🔥

私は、ちゃんとお願いした。

赤じゃない。
それだけのことだった。

────

小学校5年生。

私は、はじめて「選びたい」と思った。

何でもいいわけじゃなくて、
ちゃんと“自分で選んだもの”を持ちたかった。

だから、サンタさんに手紙を書いた。

白か黒かグレーの、ミトンの手袋。
流行っているやつ。

ちゃんと考えて、
ちゃんと言葉にして、
ちゃんとお願いした。

私はワクワクしながら眠りについた。

────

翌朝。

玄関には、いつも通りプレゼントが置いてあった。

袋を開ける。

中に入っていたのは──
真っ赤なミトンの手袋。

私は、泣いた。

赤じゃない。
それだけのことなのに、涙が止まらなかった。

────

「赤じゃないやつがよかった……」

そう言った瞬間、
母はため息をついた。

そして、少し苛立ったように言った。

「そんなに文句を言うなら、来年はもうないんじゃない?」

「いい子にしかサンタさんは来ないんだから」

「みのりは、感謝できない子になったね」

────

私は、言葉を飲み込んだ。

間違えたんだ、と思った。

欲しかっただけなのに。
ちゃんとお願いしただけなのに。

それを言ったら、
“悪い子”になるんだと思った。

────

赤い手袋を握りしめながら、
私は泣き続けた。

しゃがみ込んだ私の頭の上で、
母が何か言っていたけど、よく聞こえなかった。

私の頭の中には、別のものがぐるぐると回っていた。

お願いしたのに、
欲しいものがもらえなかった。

なのに、

サンタクロースに手袋をもらったのに、
私は泣いている。

どっちもダメな気がした。

そのふたつが、頭の中でぶつかって、
私は、わからなくなった。

──────────
🫧この形の私

読んでいただき、ありがとうございます。
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