モチノさんが残したもの
モチノさんは、決して優しい存在ではなかった。
大きな声で威圧したり、
私を下に見るような発言も多かった。
ただ、それだけではなかった。
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「こんな高級なお菓子食べられへんやろ」
そう言って、デパートの高級お菓子を
差し入れしてくれることもあった。
それを見たヤマダさんは
「イヤミやなぁ」
と言っていたけれど、素直にお菓子は美味しかった。
姉御肌のような一面も、確かに持っていた。
一緒に働いた数年間。
電話の取り方、客対応、お茶の淹れ方、
掃除の仕方――。
モチノさんが私に言ったことの中には、
「あなたはできてるの?」と感じるものも多かった。
確かに行動は伴っていなかった。
けれど、「お前は常識がないねん」と言いながら
叩き込まれた彼女なりの“ノウハウ”は、
今の私の生活を支えてくれている。
役に立つことも、確かにあったのだ。
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電話は2コール以内に取れ。
語先後礼。
お茶の淹れ方。
洗濯物は、脱水してすぐにアイロンをかけた方が
綺麗にできる。
布巾を洗う時は、ポットのお湯をタライに入れて
ハイターと洗剤を少し入れると早く綺麗になる。
お風呂入ったついでに、タイルを磨けば楽。
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モチノさんは、私にとって味方ではなかった。
潰された部分も、確かにあった。
それでも、敵だったとも言い切れない。
あの人に出会ったことで、
私が得たものも、きっとあったのだと思っている。
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🫧この形の私

