理由がなければ、苦しんではいけなかった 【子ども目線】🔥4
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これは子どもだった私が見ていた世界の話です。
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朝が来るのが怖い。
朝、起きるのが怖い。
夜 毎日、明日来るなって思うのに、また朝が来た。
起きたら学校に行かないといけない。
そうしたら、今日もあの人たちが、笑いながら私を蹴ったり殴ったりする。
そんな毎日はもう耐えられそうにない。
なんか、
なんかもうやだ。
お母さんの「起きなさい」って声が聞こえた。
まだ寝ていたい。
もう起きたくない。
いやだ。
体が重たい。
ゆっくり目をあける。
……明るい。泣きそうになる。
「また今日も朝が来た」
――もう行きたくない。
――もうやだ。
お母さんが部屋の前にきた。
ちらっと私を見て「早く起きなさい」と言う。
そのとき、口が勝手に動いた。
「……学校、行きたくない」
言ったあと、ぶわっと焦ったような怖いような気持ちが背中から私を包んでくる。
「何言ってんの、あんた」
母はため息をついた。
熱もないのに休むなんて有り得ないでしょ。
いいから早く起きなさい」
母は一瞬だけ動きを止めて、すぐに言い放った。
私の家には “38度以上の熱がないと休んではいけない” という決まりがある。
今日熱があるわけない。
今までも、例外はなかった。
それでも。
私は、今日だけはどうしても学校を休みたかった。
でも母は少し怒った顔で、
「いいから起きなさい。下にご飯できてるから」
とだけ言った。
――どうして分からないの?
――どうして理由を聞いてくれないの?
涙が出てきた。
言いたくない言葉が喉の奥までこみあげる。
でも言ったら、もっと惨めになる。
母は冷たい目で私を見てまた言う。
「早く行きなさい」
その瞬間、私はお腹の底から絞り出すような声で叫んだ。
「いじめられてるんだよ!
だから行きたくないんだよ!」
その言葉を口にした瞬間、
涙と鼻水が一気に溢れ出した。
本当は死んでも言いたくない言葉だった。
自分が “いじめられている子” だなんて認めたくなかった。
でも、どうしても行きたくなかった。
今日だけは、助けてほしかった。
“これで、お母さんは分かってくれる。”
“話を聞いてくれる。”
そう思って縋るような目で顔を上げた。
お母さんは、私が想像したよりもずっと冷たい目でこっちを見ていた。
そして、私を見下ろしながらこう言った。
「……なんだ、そんなことか。
いいから早く起きなさい」
プツン。
胸の中の何かが切れた。
空っぽになった。
自分が中身のない袋になったみたいだった。
そのまま私は床に倒れ込んだ。
涙が床に染み込んでいく。
涙と鼻水は止まらずどんどん出てくるのに、悲しさも苦しさもどこか遠いことのような感覚だった。
頭の芯がぼーっとする。
……お母さんには、
私のいじめは “どうでもいいこと” なの?
私はしばらく床に転がったまま、動けずにいた。
母は、そんな私のことを見もせず、1階に降りていった。
自分が中身の入ってない
カサカサのゴミ袋になったみたいだった。
それ以上は、何も考えられなかった。

