なぜ私は、喜べなかったのか
◎合格したのに喜びきれなかった理由
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これは、大人になった私が
あの頃の出来事を振り返り、読み解く話です。
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高校に合格した。
ちゃんと頑張ったし、結果も出た。
母も喜んでくれた。
それなのに、
どうしてか、素直に喜びきれなかった。
母は言った。
「本当は落ちると思ってた」
「落ちる夢を何度も見た」
心配してくれていたんだと思う。
それは分かる。
あとになってやっと理解した。
あのとき私が欲しかったのは、ただ一つ。
「頑張ったね」
私が聞きたかったのは、
母の不安や心配ではなかった。
ただ、頑張った自分を認めてほしかった。
でも母の視線は、
私ではなく、母自身の安心に向いていた。
主人公は、いつも母だった。
私は「私を、認めてほしかった」
母は「母自身が、安心したかった」
似ているようで、向かう方向はまったく違っていた。
「これをやれば認めてもらえる」
私はずっとそう思いながら
生きてきたのかもしれない。
頑張れば。
いい子になれば。
進学校に行きたいと、思っていた。
自分で決めたつもりだった。
けれど、理由を聞かれても
「制服が少し可愛いから」くらいしか
出てこなかった。
なにも、出てこなかった。
それには、理由があった。
本当は、母に認めてほしかった。
褒めてもらいたかった。
でも、そう願う度に傷ついた。
そう願うことは、ダメなこと。
それは、赤ちゃんのやることだ。
傷つく度に増えていく傷。
もうこれ以上傷つきたくなかった。
だから代わりに、
「制服がかわいいから」と言って
自分を納得させていたのかもしれない。
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合格したとき、少し誇らしかった。
でも、その後の母の言葉を聞いて誇らしさは
一気に消え失せた。
向けられた言葉が、
欲しかったものと、少しだけ違っていた。
褒められているはずなのに、
なぜか満たされない。
それはきっと、
「言葉が足りない」じゃない。
「言い方が悪い」でもない。
私と母では、見ている視点が違っていた。
母は、自分の心の事を言った。
そこには私の話は入っていなかった。
あのときの私が欲しかった言葉は、
そこにはなかった。

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