【スピンオフ】当たり前を飲み込んだ人 🔥2
【父の章】

父の話は、私自身が直接見たものと、
周囲から聞いた話が混ざっている。
どこまでが事実で、どこからが解釈なのかは、
私には分からない。
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父は、その家の長男だった。
家を継ぐことが前提の立場で育ったと聞いている。
祖父母は、父が幼い頃に早くに亡くなった。
両親が亡くなったあと、
祖父の姉である義祖母が親代わりを務めた。
父を強く叱る存在はいなかった。
義祖母は親ではない。
ましてや、長男だった。
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やがて父は、地元の企業に就職し働いた。
そして夜ごと酒を飲み、煙草をふかし、
遅くまで遊び歩いた。
女性関係も派手で、地元では目立つ存在だった。
誘われることも多く、
どんなに羽目を外しても、何も言われなかった。
「これでいいんだと思っていたよ」
タバコの煙をくゆらせながら、父は笑った。
結婚について、
父自身がどう考えていたのかは分からない。
ただ、家を守るために、
家にふさわしい女性が必要だった。
母の印象について、義祖母はこう語った。
「おとなしい女性だと思った。
家業をしている家のお嬢さんだから、
家事もできるだろうと考えた」
そして、2人は結婚した。
結婚後も、父の生活は変わらなかった。
毎晩酒を飲み、人を家に呼び、麻雀をした。
黙ってタバコをふかしたあと、父は言った。
「窮屈だったのかもな。出たかったよ、家を」
それ以上は、私は知らない。
ただ、父はそれからもその場所に留まり続けた。
そして、今もひとり、そこにいる。
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🗝この形の私

