セルフ・デコレーションケーキ
振り返ると、私の人生は暗い時間のほうが多かった。
それでも、ところどころに、確かに光は差していた。
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季節はクリスマスだった。
「クリスマス、どうする?」
私は目の前でテレビを見る基くんに声をかける。
「とりあえず、肉かなー」
基くんから口を開く。
「肉、いいね」
私は笑った。
特に約束していない。
けれど、私たちが話すのはいつも
「会うかどうか」ではなく、「何をするか」だった。
「今年は家でゆっくり過ごして、
夜にお肉食べよ」
「もちろんそれは」
「鶏肉!家計の味方!」
正直、二人ともお金はなかった。
だから、できるだけお金をかけないクリスマスを考えるのが、私たちの楽しみだった。
基くんは、普段ご飯をおごってくれたり、
プレゼントをくれたりした。
でも私は、もらうことが少し苦手だった。
嬉しいのに、どこか怖い。
借りを作っているような気がしていた。
「そうだ!
この間ご飯おごってくれたし、私ケーキ作るよ」
そう言うと、基くんは笑った。
「お前のケーキ、膨らまないじゃん」
「膨らまなくても、
何回か焼いて重ねれば、それなりになるじゃん。
重ねるんだよ、四回くらい焼いて」
「それ、材料費四倍じゃん」
二人で笑った。
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当日。
私はスポンジケーキを焼いた。
いつも通り、膨らまなかった。
何度焼いても同じだった。
薄いスポンジを三枚重ねる。
見た目は心もとないけれど、
味はまあまあだった。
底を少し切って食べてみる。
「まあ、いいだろ」
ケーキのデコレーションは
市販のクリームに頼った。
間にクリームを挟めば、それでケーキだった。
刺身サラダ風のカルパッチョ、
鶏肉の照り焼き、
コーンポタージュ。
どれも失敗しようのない料理。
作れるものは限られていたけれど、
精一杯だった。
鍋や包みを抱えて、車で基くんの家へ向かう。
喜んでくれるかな。
プレゼントも用意していた。
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いつもの基くんの部屋。
カセットコンロと電子レンジを使って
料理を温めた。
机の上に並んだ料理を見て、
少しだけクリスマスっぽいと思った。
二人で食べる。
「おいしいんじゃない?」
「でしょ。これしか作れないからね」
そう言って、二人で食べた。
最後にケーキを出す。
「一緒に飾ろう」
二種類の生クリームを出すと、
二人で大笑いしながらデコレーションした。
生クリームだらけの、少し気持ち悪いケーキ。
「生クリームの橋!」
ふざけながら、怖いくらい積み上げた。
スポンジは固くて、生クリームは多すぎて、
正直あまり美味しくなかった。
それでも、
二人で大笑いしながら食べたそのケーキは、
不思議と、とても美味しかった。
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🫧この形の私

