それから
私は、会社で大きな声で挨拶をした。
「おはようございます!」
「お疲れ様です」
失敗もした。
けれど、決めていた。
まずは謝る。
それから、涙を拭って、
いち、に、さん、で
次何をするかを考えた。
ぎこちなくても、必死に口角を上げた。
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その翌週。
後輩とヤマダさんの三人で
ご飯を食べに行くことになった。
特別な理由があったわけじゃない。
「たまには行こか」
それくらいの軽い誘いだった。
お店に入って、
他愛のない話をする。
仕事のこと。
私の失敗談。
どうでもいいテレビの話。
後輩が言った。
「みのりさん、大丈夫ですか?
ほんっっまにモチノの奴、人間ちゃうわ。
ぶっ飛ばしてやったらいいんですよ!」
「ほんま、腹立つわぁ」
言いながらタバコを灰皿に押し付ける。
その姿はとても頼もしかった。
「ありがとう。
なんか、そんなの言ってくれたら元気出るわ」
私は笑った。
後輩がどこまで知っているのかは、
分からなかった。
でも、
知らなくてもいいと思った。
こうして一緒にご飯を食べて、
同じ時間を過ごしてくれること。
それだけで、心が少しだけ緩んだ。
情けなくて、
感情的で、
何もできなくて。
立ち向かうことも、
変わることも、
上手に逃げることもできない私なのに。
それでも、この人たちは変わらず隣にいる。
それが、救いだった。
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食事が終わり、
後輩と別れて、
ヤマダさんと二人になった。
少し歩いたところで、
ヤマダさんが言った。
「さっきは後輩の子いてたから、
言わへんかったけどな」
立ち止まって、
私の方を見て、続けた。
「みのりさん、がんばったなぁ」
その言葉だけで、涙が出そうになる。
「朝な、見てたで。
モチノさんに、大きい声で挨拶してるの」
私は、何も言えなかった。
「嫌な態度とられても、逃げへんかったやろ。
ちゃんと前向いて立ってた」
少し笑って、こう言った。
「私、みのりさんのこと
めっちゃ強い人やと思うわ。
モチノさんの千倍くらい、かっこええわ」
そんなふうに言われたのは、初めてだった。
本当は、
負けないなんて思えていなかった。
怖かったし、
頑張ったからって報われる保証なんてなかった。
それでも、
「自分の足で立とう」と思えた。
それだけで、
私は少しだけ誇らしかった。
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🫧この形の私

