幻影旅団に入ったイルミは、ヒソカの潜入役なのか? クロロとの「1対1」を作る楔説|AIと話してみる。
※『HUNTER×HUNTER』36巻以降の内容に触れています。
少し長めですが、7分ほどで読めます。
かつて大きく広まった「イルミはすでにヒソカに倒され、ヒソカがイルミに化けている」という考察。
作中の展開によって以前ほど語られなくなったその説を思い出したところから、別の考察が浮かんだ。
イルミは偽物なのではない。
本物のイルミが、ヒソカのために幻影旅団へ潜入しているのではないか。
「イルミ=ヒソカ説」はどこへ行ったのか
俺:ハンターの話題で一個忘れてた。
イルミがすでにヒソカに負けていて、ヒソカがイルミに化けているという考察。
手が「ヒ」の形になっている。「ハーイ、ボクはイルミ」が「敗北はイルミ」に聞こえる。36巻の表紙では、死亡した団員の席に花が置かれているのに、イルミも花を持っている。
あの考察はどこへ行ったんだろう?
AI:消えたというより、一度大きく広まったあと、作中の展開によって本命から外れていった説だと思う。
36巻の表紙には、かなり多くの材料があった。
死亡したウボォーギン、パクノダ、シャルナーク、コルトピがいた席には花が置かれている。そのうえイルミ自身も花を持ち、口が描かれていない。
ほかにも「ハーイ、ボクはイルミ」という台詞、手の形、一人称、周囲の団員の視線など、全部並べると異様に意味ありげだった。
ただ、一つずつには普通の説明もできる。
イルミの花は、継承した旅団番号の前任者であるウボォーギンを示しているとも読める。「ボク」もイルミが使ったことのある一人称だ。
そして作中では、下層に現れたヒソカがボノレノフの変身だった一方、第1層には別のヒソカが登場した。
そこからさらにイルミまでヒソカだと考えるには、偽物をもう一人追加しなければならない。
完全に否定されたわけではないが、素直に読むより増築が必要になった。だから本命説から大穴説へ落ちた、というところだろうね。
イルミ本人のほうが怪しい
俺:それをぼんやり考えていたら、意外といい考察が出てきた。
イルミはヒソカのために、旅団へ潜入しているんじゃないか。
AI:「イルミがヒソカに化けられている」よりは、かなり筋が通っていると思う。
ただし、「イルミはヒソカの味方だ」とまで言うと少し粗い。
イルミはヒソカの依頼で旅団に入り、内部からヒソカと旅団の戦いの条件を操作する。しかし最後には、イルミ自身も本気でヒソカを殺す。
その形なら、二人の関係を壊さずに成立する。
そもそもヒソカを殺すだけなら、イルミが幻影旅団に入る必要はない。
単独でヒソカを探してもいいし、旅団と情報を共有するだけでもいい。正式に蜘蛛の一員となれば、団員としての行動や共同捜索に縛られ、むしろ自由度が下がる。
それでもイルミは「ヒソカの依頼で旅団に入った」と説明している。
なら依頼には、
「ヒソカを殺すこと」
とは別に、
「幻影旅団へ加入すること」
が含まれているのかもしれない。
イルミは嘘をついていない
俺:そう。俺の考察とほぼ同じ。
イルミは旅団に嘘をついているのではなく、話していないことがあるという説。
イルミはヒソカから依頼されたことも、最後にはどちらかがどちらかを殺すことも、本当のことしか言っていない。
ただし、契約内容を全部は話していない。
それにイルミはカルトと一緒にいる。
カルトの紙人形とイルミの針を考えると、情報収集や情報伝達はかなりやりやすそうに見える。
36巻表紙の花も、学校で亡くなった人の机に花を置くという、本当の風習なのか創作上の記号なのかよく分からない共通認識をなぞっているように思える。
イルミが死んでいるのではなく、ヒソカが殺した団員へ手向ける花を持っているというね。
あと、イルミの言うエンゲージメントリングは団長の首かもしれない。
これはこの考察の中で一番ふざけた、お遊びの妄想だけど。
AI:イルミが旅団へ話した内容は、ほとんど事実なのかもしれない。
ヒソカから依頼を受けた。
標的はヒソカ。
ヒソカが死ねば報酬が入る。
最後にはどちらかがどちらかを殺す。
ただし、その前段階にある仕事だけを伏せている。
旅団の位置や行動を調べる。クロロの作戦を監視する。団員の合流を遅らせる。必要な情報をヒソカへ流す。
イルミは嘘をつかず、旅団が勝手に「自分たちと同じ目的でヒソカを探している」と解釈するのを訂正していない。
嘘の中に本当を混ぜるというより、本当だけを並べて全体を隠している。
カルトとの組み合わせも機能的だ。
カルトは紙を使った追跡や盗聴に向いている。イルミは針による操作や変装ができる。露骨な裏切りをしなくても、人の配置や会話を把握し、情報を外へ運ぶ手段は作れる。
そして表紙のイルミは、死者ではなく、これから死ぬ者のために花を持つ人物とも読める。
イルミ自身が花になるのではない。
ヒソカに殺される団員の葬儀へ、先回りして花を持ってきている。
死後の復讐ではない
AI:団長の首という話を考察に組み込むなら、ヒソカが死んだ場合にクロロを殺す契約が発動する、という可能性もあるかもしれない。
俺:いや、団長の首はこの中で最もふざけただけのお遊びで、考察ではないよ。
それにヒソカもイルミも、自分たちが旅団より先に死ぬなんてみじんも思っていないと思う。
だから、ヒソカが死んだあとにイルミが旅団へ牙をむくことはない。
イルミは家族のためなら何かをするかもしれないが、ヒソカの遺志や復讐のためにクロロを殺すようなタイプではない。
ヒソカも最強を自任しているからこそ、負けたあとの保険をイルミへ頼んでいるとは考えにくい。
AI:その通りだ。
俺は考察を勝手に「死後に発動する保険」へ変形させてしまった。
ヒソカがクロロに一度敗れたことで変わったのは、「自分も死ぬかもしれないから備える」という自己認識ではない。
変わったのは、相手が準備を整えるまで待つという戦い方だ。
イルミも、依頼人の死後に友情や遺志で仇を討つ人物ではない。
この考察は死亡保険ではなく、ヒソカが勝つために現在進行形でイルミを旅団へ入れているという話だ。
イルミはヒソカを守る味方ではない。
旅団との戦いが終わるまでは協力し、そのあと本当にヒソカと殺し合う。
二人とも、そこまで自分が生き残ることを疑っていない。
出発点は「一対一のダンス」
俺:ただ、この説も時間がたちすぎている。
第1層にいたヒソカのモノローグで、イルミとの計画について何も触れていない点も弱い。
逆に、そのモノローグではっきりと「一対一のダンス」が好きだと言っていた。それがこの考察のきっかけなんだ。
ヒソカはクロロに敗れたあと、今後は時と場所と手段を選ばないと宣言している。
間違いなく集団で来ている旅団に対して、手段を選ばないことは決めている。
でも、団長とは改めて一対一でやりたいはず。
そのためにどんな方法があるかと考えたとき、イルミを旅団へ潜入させるという形が浮かんだ。
AI:なるほど。
考察の出発点は「イルミが怪しい」ではなく、ヒソカの二つの欲望をどう両立させるかだったんだ。
旅団に対しては、時も場所も手段も選ばず狩る。
それでもヒソカは、一対一のダンスを好む。
ヒソカが捨てたのは、一対一への執着ではなく、相手が万全の舞台を完成させるまで待つことなのかもしれない。
天空闘技場のクロロは、一人の姿をしていたが、シャルナークやコルトピの能力、観客、会場まで組み込んだ「集団戦術の塊」だった。
ヒソカが団員を減らしても、クロロが残った仲間の能力や情報を組み合わせれば、同じ構図が再び生まれる。
だから旅団の内側にイルミを置く。
イルミが団員を裏切って殺す必要はない。露骨に作戦を妨害する必要もない。
誰と誰が行動しているかを知る。
クロロの位置や予定を探る。
団員の合流時期を少しずらす。
ヒソカが一人ずつ狩れる機会を渡す。
最後にクロロだけが残る状況を作る。
イルミはヒソカの代わりに戦う兵士ではない。
クロロを一対一の舞台へ運ぶための舞台係であり、蜘蛛の内側へ打ち込まれた楔になる。
ヒソカは舞台の上では一人で踊りたい。
しかし開演前の椅子まで、自分で並べる必要はない。
それでも決定打はない
俺:筋は通るけど、やっぱり時間がたちすぎているんだよな。
AI:そこは弱点として残る。
第一に、イルミが旅団へ偽情報を流した、ヒソカへ情報を渡した、作戦を妨害したという具体的な描写が一つもない。
第二に、ヒソカが一人で状況を考えているモノローグで、イルミとの計画へまったく触れていない。
「作者が秘密にするために書かなかった」と説明することはできるが、それではほとんどの秘密説を救えてしまう。根拠にはならない。
第三に、旅団もイルミとヒソカの関係を知っている。
クロロたちがイルミを完全に信用せず、最初から半分スパイのように扱っているなら、得られる情報は限られる。
カルトの能力やイルミの針も、「潜入に使えそう」というだけで、実際に使われた証拠ではない。表紙の花も読み方が多すぎるため、証拠というより説を彩る図像に近い。
だから現時点で言えるのは、
イルミがヒソカへ協力した証拠がある、ではない。
ヒソカを殺すだけなら、なぜイルミはわざわざ幻影旅団へ入ったのか。
ヒソカは旅団に対して手段を選ばない一方、なぜ今も一対一のダンスを好むのか。
その二つの疑問を、イルミ潜入説なら一つにつなげられる、というところまでだ。
イルミは偽物ではなく、本物だから怖い
俺:最初に思い出した「イルミ=ヒソカ説」は、手の形や台詞、表紙の花から始まる考察だった。
今回の説は、ヒソカが団長ともう一度一対一で戦うにはどうすればいいか、というところから逆算している。
AI:そこが二つの説の違いだと思う。
「イルミ=ヒソカ説」は、作中に置かれた記号を集め、イルミが偽物だという結論へ向かう。
今回の説は、ヒソカの欲望とイルミの不自然な加入理由から、必要な手段を逆算する。
ヒソカは旅団を狩る過程では、時も場所も手段も選ばない。
しかし最後には、クロロを再び「集団戦術の塊」にすることなく、一人の男として踊りたい。
そのためにイルミを蜘蛛の内部へ入れた。
イルミは旅団に嘘をついていない。ただ、ヒソカとの契約を全部は話していない。
そして旅団を処理し終えたあと、最後にイルミ自身もヒソカと殺し合う。
決定打は何もない。
ヒソカのモノローグにイルミが出てこないという、かなり痛い穴もある。
それでも、イルミがすでに死んでいると考えるより、本物のイルミが真顔のまま旅団の中へ入り込み、ヒソカのためにクロロを一人へ戻そうとしていると考えた方が、俺には不気味で面白い。
36巻表紙でイルミが持つ花も、自分のための花ではない。
これから空席になる蜘蛛の席へ置く花なのかもしれない。
もちろん、そこまで行くとまた表紙に意味を盛りすぎている。
だが、花を持っているイルミが、以前とは少し違って見えてくる。
