清明の雨にぬれて。カワラタケ、それは「終わりを次に」つなげる命。
雨上がりの早朝。
いつもなら、まだ布団の中でゴニョゴニョしている私。
でも、今日はめずらしく、外の空気に触れたくなった。
春とはいっても、まだこの時間帯は肌寒い。
でも、誰もいないこの空間は
私にとって、より一層の清々しさを感じさせる。
せっかくなので、このひとときに
私目線の『春を探索』することにした。
普段ほとんど歩くことのない道を、スマホを片手にゆっくり進む。
目に留まった花や景色を、——『カシャッ』——『カシャッ』
(ちょっと楽しいかも・・・)
そう思いながらも、誰かに見られていないかドキドキしながら、上を向いたり、足元に目を向けたり。

そういえば、先日のニュースで、桜の木が倒れたと言っていた。
原因のひとつとして、ベッコウタケというキノコの名前が挙げられていた。

ベッコウタケは、生きている木の内部を腐らせるため、
倒木の原因になることもあるという。
私が見つけた小さい春。



そうこうしながら足を止めたのは、
湿った木の上に重なる、小さな模様。
(あれ?何だろう、コレ)
古い木に、こういうものはよく見かける。
でも、じっくり見たのは初めてだった。
重なり合うカタチや、
にじむような色合いに惹かれて、
思わず写真を撮った。
家に帰ると、さっそく撮った写真を見返した。
その中でも、あの木の写真が気になった。
(これも、キノコだよね。名前あるのかなぁ?)
単純な疑問から検索してみることに——
そして、それは『カワラタケ』というキノコだと知った。

重なり合う様子が、屋根の「瓦」のように見えることから名付けられ、
年輪のような同心円模様が特徴らしい。
「ターキーテイル(七面鳥の尾)」と呼ばれることもあるという。
(ふぅ~ん・・・そうなんだぁ・・・)
知れば知るほど、
その存在が、少しずつ違って見えてきた。
カワラタケは、ベッコウタケとは違い
古い木を分解して土に戻す、いわば「掃除屋」の役目を担っている。
朽ちた木を分解し、
やがて土へと還していく。
つまり
「終わりを、次へと繋げる存在」なのだ。
その役割に、私はグッと惹かれてしまった。
枯れた木(=古いもの)を分解し、新しい命のための土壌をつくり、
終わりを、そのまま終わらせるのではなく、次へと繋げていく。
それは、どこか人間にも重なって見えた。
そして、きっと私にも——
これまでの時間を、
一度立ち止まって、ほどくように見つめている今。
その時間が、
やがて心の中に土壌をつくり、
未来へとつながっていくのかもしれない。
人は皆、桜をきれいだと思う。
それは、「今ここで咲いている命」が儚いものだから。
でも私は——
新しい命が芽吹く「清明」の光の中で見つけた
あの、カワラタケの
「過去の命を分解している新たな命」に
今、強く心を動かされている。
ふと足を止めなければ気づかなかったもの。
それを見ようとしたときに、
はじめて見えるものが、
そこには確かにある。
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