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夫、ときどき宇宙人になる

23歳で結婚し、今年私は46歳になる。
いつのまにか、結婚23年だ。
最近、夫はときどき宇宙人になる。

その夫と、私は人生の半分を過ごしている。

何度、同じ事ですれ違ってきたんだろう。

口論や取っ組み合いがあるわけじゃない。
淡々とイライラする。
お互いに。
それを言葉にして伝える事が苦手だ。
多分、文字にすれば、言いたい事がスラスラと言えると思う。
だけど、やっぱりちゃんと顔を見て言葉で伝えたい。

そして、悶々と過ごす日々だ。

ただ、40歳を過ぎても、それだと疲れてしまう。近頃、やっと少し受け流す事ができるようになってきた。

それでもたまに、私の想いとは全く違う返答が返ってくることがある。
欲しい返事とかそんな問題ではない。
話が噛み合わない。言いたい事が伝わらない。
それはもしかすると、
私の説明が悪いのかもしれない。

だけどそんな時、

夫は宇宙人なんじゃないのか。

と疑うようになった。

そういえば、年明けに地元の祭りに友達と行った時に初めて手相占いをしてもらった。
友達が前年に悩み苦しんでいた時に救われた。
そんなお墨付きの占い師さんだ。
どちらかというと、私も占いは好きなほうだ。
少し緊張しながら、
初めての手相占いは半信半疑でお願いした。

私の手相と生年月日、子どもや夫の生年月日で見てもらい、本人がいないから、何とも正確性にはかけるかもしれないが、と言われながらも事細かく教えてくれた。
確かに、私や子ども達、夫に関する事がよく当たっている。
単純なのですぐに、心が開いていく。

その時に言われた事を、ふと思い出した。

「あなた、旦那さん、ずいぶん変わってるわね。会話にならないでしょう。」

そんな事を言われた。

いやいや、確かに変わってはいる。
そこは否定はできない。
だけども、会話はちゃんとできている。
そりゃ、たまに、わけのわからない事を言ってる事はあるけども、会話にはなる。
ちょっと大袈裟だな。

そんな風に思った。

あれから、半年、

ついこの前、全く会話にならず、
夫が宇宙人に見えてしまったのだ。

一応、フォローするなら、
ずっとじゃない。その一瞬だけだ。

だけど、宇宙人かもしれない。
そう思うと、一気に心が軽くなった。
面白いほどに、全てが許せる。

仕方がない、今は宇宙人だから。

話が噛み合わないのも、同じ日本語のはずが知らない言葉に聞こえるのも、意味なく不機嫌なのも、仕方がない、
だって今の彼は宇宙人だから。

そんな風に脳で変換される。

そうなると、もうこっちのもんだ。
何を言われても、腹が立ちそうになっても、
後ろ姿さえ宇宙人に変換する事ができるようになる。
おかげで、驚くほど腹が立つこともなくなった。

むしろ、今日も出現する事を
どこか心の奥底で待っている私がいる。

忘れないでおこう。
彼から見れば私も宇宙人なのだ。


#創作大賞2026 #エッセイ部門

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