カホ
あなたにとって「かほ」とは誰ですか?
人によって「かほ」は姉妹かもしれないし、いとこかもしれないし、推しているアイドルかもしれないし、恋人の浮気相手かもしれないし、とある文芸評論家かもしれない。
私にとっての「かほ」は小学4年生のときのクラスメイトである。小学4年生は大阪の学校へ転入して初めて過ごす年だった。友達ができずにひたすらハリーポッターを読んでいた私に声をかけてくれたのは「かほ」ではなく、「なほ」だった。「かほ」は背が低く色白で、肩くらいまでの長さの髪はいつも内側に丸まっており、トモダチコレクションのMii作成での髪型選択では全く迷わないくらいの確立された髪型だった。おしゃべりでよく笑い、毒舌で面白おかしく軽口を叩く「かほ」は人気者だった。そんな「かほ」と私は特段仲が良かったわけでも悪かったわけでもなく、いちクラスメイトとしての距離感を保ったまま1年を終えた。3学期が終わったあと、「かほ」は転校した。
それから1年ほど経って、「かほ」が私たちの地元に遊びに来た。4年生の時に同じクラスだった子たちと集まって「かほ」を迎えたが、私は当然のように「かほ」が私のことを覚えているはずがないと思った。他の子たちと違って、私は「かほ」と1年しか過ごさなかったからだ。その日は無理に話しかけず、周りが盛り上がっているのをただ見守っていた。帰り際、「かほ」が私の名前を呼んで話しかけてきた。驚いて、「覚えていないと思った」と私が言うと、「かほ」はその発言が理解出来ないという顔をした。
それまで私はどこか大阪に留学しているような気分だったが、自分の地元は大阪なんだと自覚した瞬間だった。「かほ」にとって私は「大阪の友だち」のうちの1人であり、「かほ」の中での私は一生大阪に居続けるのだろうと思った。
これが私にとっての「かほ」で、私の人生において「かほ」が出てくる印象的なシーンである。
