【心が花開く】
神様、あなたは私にどうして欲しいのですか?
あなたは何を教えようとしているのですか?
きっと愛の強さですね
愛の温もりですね
愛というものは、何かということですね
あの頃の私は愛が何かを知らなかった。
無条件の愛を貰わずに育った私は、愛の柔らかさ、優しさ、強さを知らなかった。
だから、愛に“負けて”結婚した人たちを、軽蔑した。
弱いから、愛というよくわからないもの、キャリアの妨げになるものに騙されるのだ。
愛は、いつ裏切るかわからない。
愛は、人を弱くさせる。
愛なんて、幻だ。
その考えで一致したあなたと私は、あなたは親がいつも不在だった愛に飢えたパターン、私はいつも親がコントロールしてきた過干渉だったパターンの愛を受けて育ち、ある意味似ていた。
「愛には、負けてはいけない。」
有名になって、やりたいことをすべてやって、自由に生きるのだ。
そんなことを思っていた。
しかし、私たちも人間だった。
そしていつか離れると思っていたがために、期限付きの時間を過ごしていたようなものだった。
その「終わりが必ず来ると分かっているからこそ」不覚にも私は、すべてを心に焼き付けていた。
1秒1秒、幸せだ、と思うようになっていた。
すべてのものに、死が訪れるのを分かっているからこそ、生を大事にするように、この恋愛も終わると私たちは、初めから決めていたからこそ、一緒にいる時間全てを大事にした。
そんな愛から、やっぱり別れの時が来た。
「やっぱりずっと一緒に生きていこう。」
そう言われるのを、ずっと待っていた。
でもあなたは、去った。
やっぱり、私が感じていた幸せは、私だけだったのか。
悲しかった。虚しかった。生きている意味も見つけられなかった。
初めてこんなにも、愛されていると感じて、私も全力で愛したのに、結局別れは来るではないか。
もう、すべてが憎かった。
キャリアも、友も、環境も、親も。
だから、やっぱり愛はないなら、全力で仕事に取り組んで、結婚なんかしない。
絶対有名になって、見返してやる。
その怒りを胸に、がむしゃらに一年動いた。
それは長く続くはずもなく、私は崩れた。
地の上に崩れ落ちた。
もう立てない。立ちたくない。一体誰のために立つの。もうこの世に喜びなんて見出せない。一生。
そう思った。
しかし天は囁き始めた。
「生きなさい、あなたのために。生きなさい、この美しい地球を味わうために。生きなさい、希望はまだあります。大丈夫。あなたは壊れてなんかいません。立ちなさい。涙を拭ってあげるわ。そしてあなたの心に従えば、未来は明るくなります。」
そんな言葉を聞いた。
そして少しずつ、少しずつ立ち始め、力の入らない足でなんとか、一歩、また一歩と歩き出した。
進む方向も目指すべき場所もわからないけれど
とにかく心の声に耳を澄ませながら少しずつ、色んなことを試してみた。
自分にかけてきた、効率的に動かないといけない、失敗してはいけないという呪いを徐々に解いた。
そうしたら世界はみるみるうちに色づき始めた。
「ああ、空はこんなに広かったんだね。春の匂い、草の匂いがする。」
固く閉ざされていた心という花が、一枚一枚開いていくようだった。
「生きているって、素晴らしい」
そう思える今日が来た。
[ミニフィクション]
