Bar 灯影シリーズ 第31話|エクスポートカシス 会社のトラブル
エクスポートカシス ~ 会社のトラブル ~
木曜の夜、彩香は少し疲れた表情で「Bar 灯影」を訪れた。新しいプロジェクトが始まって2日目、予想以上に複雑な内容に直面している。海外の取引先とのやり取りも多く、慣れない英語での資料作成に苦労していた。
カクテルの選択
彩「こんばんは。今日もお疲れさまでした」
マ「いらっしゃいませ。お疲れのようですね」
彩「新しいプロジェクト、思ったより大変で。海外との取引が中心なので、専門用語ばかりで」
いつもの席に座りながら、彩香は小さくため息をついた。
彩「『エクスポート』とか『インポート』とか、英語だらけで頭がこんがらがりそうです」
マ「国際的なお仕事なのですね」
彩「はい。でも、やりがいはあります。今夜は爽やかで、でも少し深みのあるものが飲みたいです」
マ「それでしたら、エクスポートカシスはいかがでしょう」
彩「エクスポート!まさに今日の気分のネーミングですね」
マ「ベルモットとカシスリキュールを合わせたカクテルです」
一杯の完成
棚からドライベルモットとカシスリキュールが取り出される。赤紫色のカシスリキュールが美しく光っている。
彩「カシスリキュール、久しぶりに見ます」
マ「フランス産の黒スグリを使ったリキュールです。実は、このカクテル名の由来にも関係しています」
グラスにドライベルモットとカシスリキュールが注がれ、静かにステアされる。
彩「どんな由来なんですか」
マ「『エクスポート』は輸出という意味。フランス産カシスの輸出を意識して名付けられたという説があります」
氷が加えられ、最後にソーダが静かに満たされる。美しいピンク色のカクテルが完成した。
彩「もう一つの説は?」
マ「1979年のカクテルコンテストで、海外輸出を目的としたカクテル部門で優勝したという説です」
味わい
彩香がひと口含むと、最初にカシスの華やかな香りが広がり、続いてベルモットのハーブの風味とわずかな苦味が現れる。ソーダの泡が全体をすっきりと引き締めている。
彩「おいしい!カシスの甘さがあるのに、大人っぽい味ですね」
マ「ベルモットの複雑な風味が深みを与えています」
彩「これなら、海外の方にも好まれそう」
マ「まさに、そういう意図で作られたのかもしれませんね」
エクスポートカシスの軽やかさと奥行きに、彩香は新鮮な驚きを感じている。
彩「私の仕事も、こんな風に日本と海外の良いところを結びつけられればいいな」
マ「きっと、そうなりますよ」
彩「カクテルも国境を越えて愛されるものですものね」
マ「文化の交流は、とても美しいものです」
ピンク色のカクテルを眺めながら、彩香は明日への意欲を取り戻していた。
彩「このカクテルのように、軽やかだけど深みのある仕事ができるよう頑張ります」
マ「その心意気があれば、大丈夫です」
国際的な仕事への不安が、少しずつ希望に変わっていく夜だった。
彩「明日も頑張れそうです。ありがとうございました」
マ「また、お待ちしております」
マスターのカクテルメモ
エクスポートカシス
ドライベルモット 45ml
カシスリキュール 20ml
ソーダ Full
作り方とコツ
グラスにベルモット、カシスリキュールを入れステアし氷を加える。ソーダを静かに満たし1〜2回転ステア。「エクスポート(輸出)」の名の通り国際的なカクテル。フランス産カシス説と1979年コンテスト優勝説がある。カシスの華やかな香りとベルモットの複雑なハーブ風味が調和。軽やかながら深みのある、文化交流を象徴する一杯。
レシピページ
材料リスト
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