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「知識も技術もあるのに、なぜか力を発揮できない…」 看護師に必要なもう一つの力

「勉強したはずなのに、いざという時に頭が真っ白になる。」

「普段ならできるのに、苦手な先輩がいると緊張してしまう。」

「ちゃんと考えていたのに、医師へ報告しようとすると自信がなくなる。」

そんな経験はありませんか?

看護師として働いていると、知識や技術を身につけるために、たくさんのことを学びます。

疾患や治療について勉強する。
看護技術を練習する。
先輩から指導を受ける。
研修に参加する。

そして、経験を重ねながら少しずつ「できること」を増やしていきます。

それなのに、

知っているのに、できない。
できるはずなのに、力を発揮できない。

そんなことがあります。

もしかすると、そこには「知識や技術」だけでは説明できない、もう一つの力が関係しているのかもしれません。

私たちは、いつでも同じように自分の力を発揮できるわけではありません。

「失敗したらどうしよう。」
「間違えたらどうしよう。」
「ちゃんとしなきゃ。」

そんな不安や緊張が強くなると、
意識が目の前のことではなく、
失敗や周りの反応へ向いてしまいます。

すると、

頭では分かっているのに、言葉が出てこない。
いつもなら判断できるのに、迷ってしまう。
自分の考えに自信が持てなくなる。

つまり、持っている知識や技術を発揮できるかどうかは、その時の心の状態にも左右されるということです。

だからこそ大切になるのが、
メンタルを整える力です。

持っている力を発揮するために必要なもの

スポーツの世界では、
技術や体力と同じように、メンタルの重要性がよく語られます。

どれだけ練習して技術を身につけても、
本番で強い緊張に飲み込まれてしまえば、
いつもの力を発揮できないことがあります。

私は、看護の現場にも似ているところがあると思っています。

もちろん、看護師にとって知識や技術は欠かせません。

でも、それだけではなく、

「知識・技術 × メンタル」

この両方があってこそ、
持っている力を必要な場面で発揮しやすくなるのではないでしょうか。

「できない」のではなく「出せなくなっている」こともある

例えば、
新人看護師さんが医師へ電話をかける時。

伝える内容をメモして、頭の中では分かっていたはずなのに、

「怒られたらどうしよう。」
「ちゃんと説明しなきゃ。」

そう思った瞬間、緊張して言葉が出てこなくなる。

初めてリーダー業務を任された時もそうです。

周りの状況を見なければ。
判断を間違えてはいけない。
みんなに迷惑をかけてはいけない。

そう考えれば考えるほど、焦って優先順位が分からなくなる。

主任や師長になってからも、

「私がしっかりしなければ。」
「正しい判断をしなければ。」

という責任感が強くなり、自分を追い込んでしまうことがあります。

これは必ずしも、知識や能力が足りないということではありません。

持っている力を、緊張や不安によって一時的に出しにくくなっている。

そんなこともあるのです。

メンタルは「強い・弱い」ではなく、整えるもの

「メンタルが大切」と聞くと、

「もっと精神的に強くならなければ。」
と思う方もいるかもしれません。

でも、私が看護師さんに伝えたいメンタルは、

何があっても動じない強い心をつくることではありません。

緊張してもいい。
不安になってもいい。
落ち込む日があってもいい。


大切なのは、
その状態に気づいて、必要な時に自分を整え直せることです。

例えば、

医師への報告前に、

「失敗しないようにしなきゃ」
ではなく、

「まず必要な情報を一つずつ伝えよう」
と考える。

急変対応で焦った時には、

「どうしよう、どうしよう」
と頭の中で回り続けるのではなく、

一度呼吸を整えて、

「今、一番優先することは何?」
と自分に問いかける。


先輩から注意されて落ち込んだ時も、

「私は看護師に向いていない」
まで考えを広げるのではなく、

「今回、改善することは何だろう?」
と、目の前の出来事に戻していく。

こうした小さな切り替えも、
メンタルを整えるスキルの一つです。

メンタルを整えることは、看護の力を引き出すこと

私は、メンタルを整えることは、
単に「心をラクにするため」だけのものではないと思っています。

自分の状態に気づく。
焦った時に立て直す。
必要以上に自分を責めない。
相手の反応に振り回されすぎない。
完璧を求めすぎず、今できることに集中する。


こうした力が身についていくと、

自分がすでに持っている知識や経験を、
必要な時に使いやすくなります。


だから、メンタルは看護技術とはまったく別のものではなく、

看護師としての力を発揮するための土台
でもあるのだと思います。

そしてこれは、
新人看護師さんだけに必要なものではありません。

中堅になっても。

リーダーになっても。

主任や師長になっても。

立場が変われば、新しい緊張やプレッシャーが生まれます。

だからこそ、知識や技術を学び続けるのと同じように、

「自分の心をどう扱うか」を学ぶことも、
看護師にとって大切なスキルなのではないでしょうか。

では、どうやってメンタルを整える?

メンタルを整えるといっても、
特別なことをする必要はありません。

まずは、日々の仕事の中で自分の状態に気づき、少しずつ立て直す方法を持っておくことが大切です。

①「今、焦っている」と自分の状態に気づく

焦っている時ほど、私たちは焦っていることに
気づかないまま動いてしまいます。


「ちゃんとしなきゃ。」
「早くしなきゃ。」
「間違えたらどうしよう。」

そんな言葉が頭の中をぐるぐるし始めたら、

「今、私は焦っているな。」

と、一度自分の状態に気づいてみます。

気づくだけでも、
感情に飲み込まれた状態から少し距離を取ることができます。

②「今できること」に意識を戻す

不安や緊張が強くなると、

「失敗したらどうしよう。」
「怒られたらどうしよう。」

と、まだ起きていないことへ意識が向きやすくなります。

そんな時は、

「今、私ができることは何?」

と自分に問いかけてみてください。

報告する内容を整理する。
必要な情報を確認する。
分からなければ相談する。

目の前の「できること」に意識を戻すと、
次の一歩が見えやすくなります。

③ 自分を落ち着かせる「スイッチ」を持つ

深呼吸をする。
肩の力を抜く。
心の中で「大丈夫、一つずつ」と言う。
手を軽く握って開く。

自分が落ち着きやすい行動や言葉を、
一つ決めておくのもおすすめです。

緊張しないようにするのではなく、

緊張しても、自分で戻ってこられる方法を持っておく。

それが、メンタルを整える力につながっていきます。

今日のしなやかワーク(30秒)

今日、仕事の中で少し緊張したり、焦ったりした場面を一つ思い出してみてください。

そして、自分に聞いてみます。

「次に同じ場面があったら、私はどうすると落ち着けそう?」

深呼吸をする。

「一つずつで大丈夫」と心の中で言う。

報告する前に、一度内容を整理する。

分からない時は、早めに誰かに相談する。

どんな小さなことでも構いません。

大切なのは、
「緊張しない自分」を目指すことではなく、
「緊張しても戻ってこられる方法」を自分で知っておくこと。


自分に合った「整え方」を一つずつ増やしていくことが、必要な時に自分の力を発揮することにつながっていきます。

最後に

看護師は、たくさん勉強します。

知識を身につけ、技術を磨き、経験を積み重ねていきます。

でも、

「もっと勉強しなきゃ。」
「もっとできるようにならなきゃ。」

と、自分に何かを足し続けるだけでは、うまくいかない時もあります。

すでに自分の中にある力を、どうしたら必要な時に発揮できるのか。

そのために、

自分の心の状態を知り、整え、立て直す力を身につけていく。

それも、看護師として長く働いていくために大切な学びだと思います。

メンタルを整えることは、

「もっと強い看護師になること」ではありません。

自分が持っている力を、自分らしく発揮できる看護師になること。

知識や技術を磨くように、心の扱い方も少しずつ身につけていく。

そんな「学校ではなかなか教えてもらえない力」を大切にして欲しいなと思います。

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