ひどい入眠時幻覚
そういう体質なのだと思うが、子ども時代から入眠時幻覚を起こしやすい。
だいぶん頻度が下がったがいっときは一ヶ月近く毎晩起こったので、眠るのが恐ろしかった。
どちらが現実か分からなくなる。
さまざまなバリエーションがあるが大筋の流れはこうだ。
布団に入る、しかしまだ眠くはない、寝返りを二、三度打つ…すると押し入れからお化けが出てくる。私は家の外へ逃げる、道路際までたどり着き振り返る、するとまた私は布団の中にいる。周囲に見えているものは何ひとつ普段の現実と変わらない。そして同じことを何度も繰り返す。
どうにかしてこうした入れ子状になった夢から抜け出していま見えている薄明かりの寝室が"本物"の現実らしいことを確認する。よし、絶対に起きてやるぞ、今度こそ脱出だ、と思うのだが上下の目蓋が磁石にでもなったかのような剛力で互いを引き付け合い、また夢の中へ戻りそうになる。
それを私は指を使い強く押さえて閉じないようにする。視界がぐるぐる回る。必死に抵抗して抵抗して…何とか現実へ脱出できることもあれば、再び夢の中へ引きずり込まれることもある。
他にもいろいろなパターンがあるが、共通しているのは夢と現実の境目がまったくわからないことだ。まどろむ間もなく、見えている景色のまま、夢が始まる。
こうしたことを体験するのは家族のうちで私しかいない。
過去に強迫症の気のあった私は、その体質と入眠時幻覚の体質とに何か関連があるのではないか、と思い強迫症の診断のある友人にこういった幻覚があなたにもありますかと訊ねたが、無いと言われた。
これを書いていて思い出したが、十年以上前にテレビの報道で、寝起きの少女がいきなり刃物で父親を襲った事件があり動機が「夢かと思った」だった。その後その事件の続報はなかったがもしもその動機が本当なら彼女も私と似たような睡眠の問題を抱えていたのかもしれない。
あまりひどい入眠時幻覚が日常的に起こるのならばいちど医師に相談した方がよいのだと思う。
追記
私はこうした体質から夢現の境目やその移行の曖昧な描写、のうまい作品に惹かれることが増えた。
その例、
高橋葉介『夢幻紳士シリーズ』
岡野雄一『ペコロスの母シリーズ』
京極夏彦『狂骨の夢』
デヴェンドラ・バンハート
『サンタ・マリア・デ・フェイラ』
ザ・ビートルズ
『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』
音楽曲については飽くまでも私の主観で夢現が題材と判断した。
もしもこの記事の読者のなかに、他にお勧めの
“夢現曖昧作品”をお持ちのかたがあるならば、コメント欄にて紹介してくださると筆者は飛び上がって喜ぶかもしれません。
