「続きは読めない」きのころチャレンジ
ウケ狙いでもいい、無茶苦茶でもいい、という条件なら、
きっと関谷さんにもご参加いただけると期待してます🥹
きのころさんがそう言ってくれたので、
きのころさんのお話(書き出し)の続きを書いてみました。
私、ウケ狙ったり、無茶苦茶したりはしないタイプだけどな?
と、ちょっと引っかかりはしましたが、
そこはハードルを下げてくれたきのころさんの優しさと受け止めて
GO!です。
今朝、郵便受けに入っていた一通の手紙。
差出人の名前はない。
胸騒ぎに、震える手で封を開ける。
中に入っていたのは、
途中まで書かれた私の遺書。
覚えはない。
だが、間違いなく私の筆跡だ。
日付は明日になっていた。
これは、未来の私の遺書。
つまり、未来の私からの、殺人予告だ。
だが、今日の私は死にたくない。
たった一日で、私の身に一体何が起きるというのだ。
こうしてはいられない。
なんとしても、自分の身を守らなければ。
けれど相手が未来の自分では、こちらの分が悪い(気がする)。
私は、名探偵に護衛を依頼することにした。
★
探偵事務所は、雑居ビルの二階にあった。
一階は喫茶店になっている。
階段を上ってドアを開けると、ちょび髭のおっさんが、ソファにどっかり座っていた。
その隣に、赤い蝶ネクタイの子ども。
「殺人予告が届いたんです」
「ほほう…誰かに恨まれるような心当たりはありますか?」
「……未来の自分に、恨まれているのかもしれません」
「はああ?」
あからさまにめんどくさそうな顔をする名探偵に、私は経緯を説明した。
「ねえおじさん、その遺書、見せてよ」
蝶ネクタイの子どもが、不自然に甘えた口調で言う。
「あ、ああ…」
私は子どもに遺書を渡した。
名探偵が「ガキはすっこんでろ!」と子どもにげんこつを食らわせ、
遺書を奪い取る。
そして、「こ、これは……!」と驚愕した。
名探偵
「……ただのDMじゃねえかっ……!!」
子ども
「ほんとだぁ、“ご家族みんなで通信費を見直しませんか”って書いてあるね」
あまりに不可解な事件に、名探偵も混乱しているようだ。
「これが今朝、郵便受けに入っていたのですが……差出人の名前がないんです」
冷静に伝えた。
「Y!mobileのロゴがデカデカとあるけどな」
名探偵は、まだ理解できていない。
「奇妙なことに、消印もありません」
「DMってそういうもんだけどな」
「しかも、遺書は書きかけなんです。ほら、ここから先が空白」
「それ申込用紙な」
「そして、ほら、明日の日付が、ここに」
「申し込み期限が明日までになってる。だいぶ長い間ポストに放置してたんだろうな」
「命の期限……!?」
「申し込み期限だってば」
「だって、筆跡だって!」
「ヒラギノ角ゴです」
「この世からあの世へのりかえ」
「キャリア乗り換え」
「救急(99)搬送」
「月額990円。おまえ、いいかげんにしろよ?絶対わざとじゃねえか。
(99)でヒント与えてんじゃねえわ」
さっきから私たちのやりとりを冷めた目で見ていた子どもが、
いきなり腕時計を構え、名探偵に向けて麻酔銃を撃った。
「えっ、ちょっ、きみ……!?」
子どもはトテトテと名探偵の背後に回り込み、
ソファの下に身を潜めた。
「安心しなさい、これは遺書じゃない」
突然、名探偵がイビキをかきながら渋い声で喋った。
「えっ、何!?どういうこと!?(いろんな意味で)」
名探偵は目を閉じたまま、遺書(DM)を指さして言った。
(なんか背後から誰かが名探偵の腕を動かしたようにも見えた)
「これは、―――家計簿だ」
「かけい……ぼ?」
「そうだ。家計簿だ」
「だって…差出人がないんです」
「家計簿だもん」
「消印もありません」
「家計簿だもん」
「書きかけなんです」
「家計簿だもん」
「明日の日付が、ここに」
「家計簿だもん」
「筆跡が、自分」
「家計簿だもん」
「この世からあの世へのりかえ」
「プラン変更は、節約の要だ」
「月額990円…」
「3パック990円」
「明日の私は……3パック990円を買うんですね?」
「そうだ。まとめ買いで、10円お得だ」
明日の私は、生きている。
10円お得に。
家計簿は、生存予告だ。
★★
以上です。
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