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SNSには載らない隠れた名店、焼鳥屋の一夜から学ぶ情報の価値

家族で焼鳥屋に行った。長女が海外留学へ出発するにあたり、彼女の大好物である焼鳥を渡航前に食べさせてあげたいと考えたのが発端だった。

さて、どこのお店に行こうか。気軽に焼鳥屋に行こうと約束してみたものの、実はこれほど店選びが難しいジャンルはない。食事自体は串の焼鳥を中心に鶏料理が振る舞われるため、どのお店も基本のスタイルは同じだ。

しかし、物理的な見た目は同じであっても、鶏の種類や捌き方、炭の種類、焼きの入れ方、たれ、塩の加減など、無数の変数がある。そのため、出来上がりの味は千差万別となる。

さらに、店の雰囲気や価格帯、客層など、味以外のファクターも影響が大きい。安ければ良いというわけでもなく、高級だから満足できるというわけでもないのが、ビジネスの世界にも通じる奥深さだ。

今回は、せっかく家族で囲む食卓なのだから、肩肘張らない雰囲気の店にしたかった。同時に、渡航前の大切な一食である以上、絶対に失敗は許されない。自分が近年訪れたお気に入りの店をくまなく思い返してみたが、平日の夜に家族で寛ぎながら極上の鶏を愉しめる店がすぐには浮かばなかった。

そんな時に、ある記憶が甦った。学生時代の友人であり、少しだけビジネスの絡みもある人物がいる。彼とは年に数回、夜を共にする機会があるが、無類の食通である彼との会話は決まってお互いのお気に入りの店の情報交換となる。

そんな彼から以前、とある焼鳥店を勧められ、是非家族で行ってみてほしいと言われたことがあった。もちろん名前は控えていたが、自宅や仕事場からの動線に合わず、行きそびれていたのだ。

場所は少し遠いが、あの食通の彼が太鼓判を押すお店に賭けてみよう。そう決意して私はそのお店を予約した。
予約当日、家族と共に店へ一歩足を踏み入れると、そこはいわゆる街の歴史を感じさせる佇まいの焼鳥屋だった。

見た目は普通であった。

小綺麗でモダンな店を想像していたのか、一瞬、家族の表情に戸惑いのような反応が見え、気が気ではなかった。

しかし、女将さんの愛想が良く、温かみのある受け答えに触れるうちに、その不安は少しずつ消えていった。
料理は基本的に、串とサラダ、そして最後のご飯ものという構成だ。それらをアラカルトで注文する仕組みになっている。串のメニューは壁に掛けられた木札に端正に書かれており、それをみんなで覗き込みながら、次々とオーダーしていった。

ここで驚くべき光景を目にすることになる。全ての料理が、オーダーを受けてから作られるのだ。当たり前のことのように聞こえるかもしれない。しかし、大抵の焼鳥屋は、仕込みの時間に鶏を切り、串に刺し、あとは焼くだけの状態でストックしている。対してこの店は、注文が入ってから鶏もも肉を包丁で切り分けるところから始める。つくねも挽肉を練るところから始めていた。当然、提供されるまでに相応の時間はかかる。

皮は周りがサクサクで、中はトロッ!!
砂肝の焼きの入れ方は最高だ。

だが、運ばれてきた串を口に運んだ瞬間、その待ち時間は完全に帳消しになった。肉の水分と旨味が完璧に閉じ込められており、抜群を上回る感動的な味わいだった。手際よく包丁を動かし、絶妙な火入れを行う大将の職人技は、まさに熟練工そのものであった。

締めのきじ丼

この店の一連の丁寧な工程や本物の味は、建物の外観やファサードからは決して想像がつかない。周囲を見渡すと馴染みの常連客ばかりのようで、SNSで派手に拡散されている気配もない。ネットの海に浮遊する記号化された評価ではなく、リアルな関係性の中に隠された本物の優良物件だった。

このような素晴らしい店に出会えたのは、紛れもなくあの旧友がもたらしてくれた情報のおかげである。これは私が身を置く不動産ビジネスの世界でも全く同じことが言える。ビジネスにおいて、早くて正確な情報ほど需要が高く、価値あるものはない。情報こそが全てを決定づけると言っても過言ではない。

そして、最も重要なのはここからだ。その貴重な情報を与えてくれる人間に対して、どれだけ感謝し、相手を大切にし、自分なりの方法で恩返しを実践できるか。

もっと言うと、自分は自分が情報を貰ったり、頼み事をするよりも先に、相手にとって上質な情報を提供したり、頼まれごとを叶えたりしている。

その姿勢が、その後さらに質の高い情報が巡ってくるかどうかの分岐点となると思う。

情報をタダだと思い込み、受け取るだけで搾取しようとする人間の元には、2度と本物の情報が入ってくることはない。
これは不動産投資の世界における鉄則だ。

小さな焼鳥屋のカウンターで、良質な情報が持つ重みと、それを循環させる人間関係の大切さを改めて噛み締める一夜となった。

互いの信頼というインフラがあって初めて、真の価値を持つ情報というものが巡り回ってくるということを、心に深く刻んでおきたい。

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