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歴史的暴落をチャンスに変える。名門プラザホテルをコロナ禍に買った男の「逆張り」思考

先日、お客様と会話を交わしていた時のことだ。「実は当社、ニューヨークのプラザホテルを所有しているんですよ」という言葉が飛び出し、自分は耳を疑った。

プラザホテルといえば、あの歴史的なプラザ合意の舞台であり、セントラル・パークの目の前に佇む名門中の名門だ。かつてドナルド・トランプがオーナーだったことでも知られる、世界で最も有名なホテルのひとつである。 

大変失礼ながら、目の前にいる中小企業の経営者がそのオーナーであるとは瞬時に結びつかなかった。思わず「あのプラザホテルですか」「セントラル・パークの目の前の」と、立て続けに言葉を返していた。

詳しく紐解くと、現在のプラザホテルはホテル部分と高級分譲住宅部分に分かれており、客室の一部が「ホテルコンドミニアム」として投資対象になっている仕組みだった。お客様はその一室を過去に購入していたのだ。

それにしても、世界的な歴史の舞台となったあのプラザホテルの一室が、日本の中小企業でも手が届く形で、しかも通常のマンションと同じようにウェブサイト上で売りに出されているという事実には驚きを隠せなかった。

そのお客様は定期的に現地の不動産市場を巡る情報をチェックしており、世界中がパニックに陥っていたコロナ禍の真っ只中、売りに出されていた客室を購入したという。驚くべきことに、その物件の価値は現在、購入時の3倍以上にまで跳ね上がっている。まさにこれ以上ない絶妙な好機を捉えた投資判断であった。

誰もがホテル事業の未来に絶望し、悲観論だけが市場を支配していた中で、これほど大胆な決断を下せる人がどれほどいるだろうか。

投資の世界で言われる「逆張り」を完璧な形で実践したその経営者に対し、私は心の底から深い敬意の念を抱いた。

長年、組織の人間として不動産業界に身を置き、この35年間のマーケットの激動を最前線で見つめ続けてきた。

1990年代初頭のバブル崩壊に始まり、ITバブルの崩壊、リーマンショック、東日本大震災、そしてコロナ禍。巨大な危機のうねりが幾度となくこの国と世界を襲った。

その都度、株式や不動産の価格は例外なく急落した。しかし、まさにその暴落の最中において、企業の経営陣や組織のリスク感度は最大値に達してしまう。結果として「今は様子を見るべきだ」という空気が社内を支配し、合理的な投資判断が完全に麻痺していく光景を、私は何度も目の当たりにしてきた。

皮肉なことに、市場が完全に底を打ち、誰もが安心できる回復基調に入ってからようやく組織は投資を再開する。だが、その時点ではすでに手遅れなのだ。安値で市場を買い漁った海外の投資プレーヤーたちの後塵を拝し、高値掴みをさせられるのが関の山だった。

法人であれ個人であれ、真に市場で生き残り、資産を拡大するためには、平時の冷静な時に「リスクを取る投資額」をあらかじめ確定させておく必要があると思っている。

そして「投資対象の価格が何パーセントまで下落したら機械的に購入する」というルールを冷徹に決めておくべきだ。

個別株の場合は、その企業自体が破綻すれば資産は紙屑と化すリスクがある。だから不動産という現物資産、あるいはインデックス投資が個人の選択肢として最適となる。

極めて重要なのは、この意思決定を「マーケットが極めて好調な時期」に済ませておくことだ。

いったん市場が悪化し始めると、人間は過度にリスクに対して臆病になり、自らの責任問題や自己防衛の本能が働いて、客観的で正しい判断ができなくなるからである。

過去のデータがそれを示している。バブル崩壊時、日経平均株価は最高値から約80%下落した。2008年のリーマンショック時には、日経平均株価は約61%の暴落を記録している。一方、米国市場のS&P500指数は、過去30年間における最大の暴落局面で約57%の下落を記録した。

これらの歴史的な暴落を経てなお、現在の市場は暴落前の高値を遥かに超える水準まで成長を遂げている。歴史の教訓を踏まえるならば、日本市場であれば30%から40%、米国市場であれば20%程度の下落を見た局面こそが、大いなる買い場であると言えるのではないか。

逆張りはしたいものの、所詮底値では買えないのだから、歴史的な暴落の半分程度を買い時と見れば良いと思う。

恥ずかしながら私はこの具体的な下落率の数字を、自宅の部屋の常に目に見える場所に貼り付けている。現状の市場を見る限り、幸いなことにそこまで暴落する気配は微塵もない。

しかし、いざ本当にその破壊的な暴落が現実となった時、私は壁の張り紙を見つめ、実際に資産投じる勇気を持てるだろうか。恐怖に打ち勝ち、未来の自分がその決断を下せるか、未来の自分が今から楽しみでならない☺️

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